研究課題/領域番号 |
05274102
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小川 智也 東京大学, 農学部, 教授 (30087572)
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研究分担者 |
梶本 哲也 理化学研究所, 国際フロンティア・糖情報工学, 副チームリーダー (80185777)
長谷川 明 岐阜大学, 農学部, 教授 (10026429)
楠本 正一 大阪大学, 理学部, 教授 (30028253)
稲垣 冬彦 東京都臨床医学総合研究所, 生理活性物質研究部門, 部長 (70011757)
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キーワード | ユビキチン / aFGF / リピドA / セレクチン / リガンド / グアニジドガラクトース / セラミド / プロテオグリカン |
研究概要 |
本研究班は、糖鎖及び糖鎖複合体の解析・分子設計及び再構成に関する研究を遂行し、平成5年度には以下の実績を得た。稲垣は、aFGFとヘパラン硫酸の相互作用の解明を目的として、aFGFの^<13>C/^<15>Nシングルラベル体、^<13>C/^<15>Nダブルラベル体を調製し、NMR測定条件として安定な溶液条件を見いだした。また主鎖の帰属を目的として、HNCA、HNCOCA、HNCO等の三重共鳴三次元NMRの測定パルスを作成し、ユビキチン、aFGFに適用し良好なスペクトルを得た。更に主鎖の帰属を目的として、三重共鳴三次元NMRを用いた半自動帰属システムを構築した。楠本は、チオグリコシドを供与体とするグリコシド化において、NBSとトリフレートや過塩素酸塩の組み合わせが反応に有効であることを明らかにした。更に、アセトニトリルなどの溶媒効果との組み合わせによりアノマー比の高選択性を達成した。この方法を利用して、リピドAの活性等価体であるホスホノオキシエチル誘導体のエチレングリコール部分への放射性標識体合成のモデル実験に成功した。長谷川は、細胞接着蛋白質であるセレクチンファミリーがSLe^x及びSLe^aをリガンドとする点に注目し、更に原子レベルでの蛋白の認識部位を合成化学的及び計算機化学的に追及し、特に、糖鎖リガンドのフコース部分の水酸基の重要性に関して知見を得た。また、ポリシアロガングリオシドやα-系列及びガングリオ-ラクト系列のガングリオシド全合成に関しても知見を得ている。梶本は、Candida humicolaの菌体破砕緩衝液の上清中に存在するL-スレオニンアルドラーゼを合成用の触媒として利用し、ガラクトシダーゼ阻害剤であるグアニジドガラクトース及びセラミド類似体の合成に成功した。小川は、コンドロイチン硫酸やデルマタン硫酸に代表されるGalNAcを繰り返し単位に有するプロテオグリカンの糖鎖とコアタンパクの結合領域に注目して、その合成を推進し成果を得た。すなわち、コアタンパクのL-セリン残基から共通コア糖鎖として4糖単位の伸長を立体選択的に行い、更にGalNAcとGlcAを用いて鎖長の伸展に成功した。また、糖鎖延長と同時に生合成機作に機能性が仮定されている硫酸基の導入を試みて成功した。この合成糖鎖アミノ酸複合体は、プロテオグリカン生合成研究の分子プローブとしての機能が期待される。また、糖タンパク生合成機構に有用と考えられる分子プローブの分子設計にも知見を得ている。
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