糖鎖遺伝子の特異性

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05274103
• 研究機関: 大阪大学
• 研究代表者: 谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
• 研究分担者: 宮城 妙子 宮城県立がんセンター研究所, 部長 (50006110) ; 古川 鋼一 長崎大学, 医学部, 助教授 (80211530) ; 辻 崇一 理化学研究所, 国際フロンティア, チームリーダー (90124677) ; 成松 久 創価大学, 生命科学研究所, 教授 (40129581) ; 村松 喬 名古屋大学, 医学部, 教授 (00030891)
• キーワード: 糖鎖遺伝子 / 糖タンパク質 / Gal転移酵素 / トランスジェニックマウス / シアル酸転移酵素 / シアリダーゼ

研究概要

平成6年度我々は糖鎖制御の解明を目的として糖鎖遺伝子の単離を中心に研究を進めてきた。糖鎖合成系では、辻らがPCRを用いた新規な方法で各種シアル酸転移酵素遺伝子をクローニングし、GD3合成酵素遺伝子が神経分化誘導遺伝子であることを明らかにした。古川らは発現クローニング法で、β1-4 N-アセチルガラクトサミン転移酵素(GM3合成酵素)遺伝子をクローニングした。谷口らはN-アセチルグルコサミン転移酵素IIIおよびV両酵素を精製、遺伝子クローニングに成功し、gnt5遺伝子のTGF-βによる発現調節機構を解析した。また、gnt3遺伝子導入メラノーマ細胞を作成し肺転移抑制現象を見い出した。成松らはPCRを用いたルイス血液型遺伝子の突然変異解析法を開発し、癌患者において、赤血球上、唾液中、消化管組織におけるルイス抗原の発現変化をルイス遺伝子型を決定することにより解析した。村松らはα1-3フコース転移酵素cDNAを導入したトランスジェニックマウスを作成しその組織発現を検討し、腎糸球体、肝シヌソイドの内皮細胞にルイスX抗原が大量に発現することを明らかにした。また、α1-3フコース転移酵素IV遺伝子を導入することによりES細胞の心筋分化能が増大することを明らかにした。一方、糖鎖分解系では、宮城らが細胞質シアリダーゼの精製、遺伝子クローニングを行った。堀之内らは下等真核生物である毛カビおよびその糖鎖付加変異株の解析を行い、哺乳類以外では知られていないα-マンノシダーゼ-Iと高い相同性をもつ遺伝子を単離した。

研究成果

• [文献書誌] E.Miyoshi: "Transforming Growth Factor β Up-regulates Expression of the N-Acetylglucosaminyltransferase V Gene in Mouse Melanoma Cells." J.Biol.Chem.270. in press (1995)
• [文献書誌] M.Yoshimura: "Cell Spreading in Colo 201 by Staurosporin ls α3β1 Integrinmediated with Tyrosine Phosphorvlation of Src and Tensin." J.Biol.Chem.270. 2298-2304 (1995)
• [文献書誌] Mitsiadis,T.A.: "Midkine(MK),a heparin-binding growth/differentiation factor,is regulated by retinoic acid and epithelial-mesenchymal interactions in the developing mouse tooth,and affects cell proliferation and morphogenesis." J.Cell.Biol.in press (1995)
• [文献書誌] Muramatsu,H.: "Localization of heparin-binding,neurite outgrowth and antigenic regions in midkine molecule" Biochem.Biophys.Res.Commun.203. 1131-1139 (1994)
• [文献書誌] Nobuyuki Kurosawa: "Cloning and expression of Ga1β1,3GalNAc-specific GalNAc α2,6-sialyltransferase" J.Biol.Chem.269. 19048-19053 (1994)
• [文献書誌] Naoya Kojima: "Induction of cholinergic differentiation with neurite sprouting by de novo biosynthsis and expression of GD3 and b-series gangliosides in Neuro2a cells" J.Biol.Chem.269. 30451-30456 (1994)