糖鎖遺伝子とその生物機能

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05274105
• 研究機関: 自治医科大学
• 研究代表者: 斉藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
• 研究分担者: 関谷 剛男 国立がんセンター研究所, 部長 (70142651) ; 小川 智也 東京大学, 農学部, 教授 (30087572) ; 入村 達郎 東京大学, 楽学部, 教授 (80092146) ; 鈴木 明身 東京都臨床医学総合研究所, 部長 (70134533) ; 谷口 直之 大阪大学, 医学部, 教授 (90002188)
• キーワード: 糖鎖遺伝子 / 増殖・分化 / 糖鎖発現の制御因子 / 分子認識と接着 / 糖鎖複合体の再構成 / 糖転移酵素 / 糖鎖機能 / 糖鎖複合体の分子設計

研究概要

本重点研究は、多様な糖鎖の分子構造から具現される多彩な生物活性及びその制御分子機構について、糖鎖遺伝子の体系的な解明を目指し、以下の主要5項目に分けて推進している:【.encircled1.】糖鎖遺伝子の特異性(谷口)、【.encircled2.】糖鎖発現の制御因子(鈴木)、【.encircled3.】糖鎖と増殖・分化(斉藤)、【.encircled4.】糖鎖による分子認識と接着(入村)、【.encircled5.】糖鎖及び糖鎖複合体の解析、分子設計および再構成(小川)。
本年度は2回の公開シンポジウム(6月、12月)及び各班会議を開催し(斉藤)、各班員間の有益な情報交換の機会が持たれると同時に、班員外の参加者からも活発な質疑応答があった。各研究班はそれぞれ特徴的な研究アプローチと研究レベルで各研究課題を推進させているが、相互の情報交換を活発にするため、第2回(12月)の班会議は、第1班、第2班及び第5班が合同(谷口、鈴木,小川)で、第3班と第4班が合同(斉藤、入村)で、二つのグループに分れ開催された。発表者の人数が多過ぎ、各人の持ち時間が少な過ぎたとの反省はあつたが、情報交換が密になり、質疑応答が活発化したとの好評が得られ、次回以降も班の組合せを換え、改善を重ねて合同班会議の形式を継続する予定である、第3班、第4班が推進している多様な糖鎖機能の本質的な解明には、第1班、第2班の研究推進が必須条件であり、また第1班で既にクローニングされた、或いはクローニングが射程内に入っている糖転移酵素の研究展開は、第2班の研究計画と相互に補完する内容になっている。さらに第5班での研究展開が期待される糖鎖の分離、構造解析技術、糖供与体や酵素インヒビター合成などは、第3班、第4版の研究推進に極めて重要であるばかりでなく、第1班、第2版の遺伝子解析研究にとっても、非常に効率の良い手段を提供することとなっている。
また総括班の活動の一環として、20名を超える若い第一線の研究者を「研究協力者(班友)」として採用し、情報交換、研究費などの側面から援助を行った。

研究成果

• [文献書誌] Sakai.T.,Kawakatus.H.,Hirota,N.,et al.: "Tenascin Expression in vitro and vivo: Comparison between Epithelial and Nonepithelial Rat Cell Lines." Exp,Cell Res.206. 244-254 (1993)
• [文献書誌] lhara,Y.,et al.: "ol)NA cloning,expression,and chromosomal localizaition of human N-acetyl glucosaminyl-transferase III(GnT-III)." J.Biochem.113. 692-698 (1993)
• [文献書誌] Furukawa,K.,et al.: "GD2 ganglioside on HTLV-I infected T cells: possible activation of acetylgalactosaminyltransferase gene by p40^<tux>" Proc.Natl.Acad.Sci,USA.90. 1972-1976 (1993)
• [文献書誌] Hasimoto,Y.,et al.: "Purification and characterization of UDP-N-acetylgalactosamine GM3/GD3 N-acetylgalactosaminyltransferase (EC2.4.1.92)from mouse liver." J.Biol.Chem.268. 25857-25864 (1993)
• [文献書誌] Dohi,D.F.,et al.: "Regulation of sialomucion in colon carcnoima cells." J.Biol.Chem.268. 10133-10138 (1993)
• [文献書誌] Dabrowski,zu.et al.: "Solution conformation of the tetrasaccharide glycoside Xylbeta1-(Manalpha1-3)2Manbeta1-4Glcbeta1R from the mollu-series alycosphingolipids" Biochem.Biophys.Res.Commun.192. 1057-1065 (1993)