糖鎖と増殖・分化

1993 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05274106
• 研究機関: 自治医科大学
• 研究代表者: 斉藤 政樹 自治医科大学, 医学部, 教授 (60012762)
• 研究分担者: 古川 清 東京大学医科学研究所, 助手 (10190133) ; 山形 達也 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 ; 辻 崇一 理化学研究所国際フロンティア, 主任研究員 (90124677) ; 平林 義雄 理化部研究所国際フロンティア, 主任研究員 (90106435) ; 星 元紀 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (20012411)
• キーワード: 癌関連糖脂質 / インターロイキン3 / ポリシアロガングリオシド / シアル酸転移酵素 / グリア系細胞 / カルモジュリン依存性酵素 / N-アセチルガラクトサミニル化 / リン作動性ニユーロン特異的ガングリオシド

研究概要

癌関連糖脂質GD1aがインターロイキン3(IL-3)の情報伝達に関与していることを示唆する結果を得た。IL-3依存性NFS-60細胞ではIL-3刺激と同様に、GD1aのみで170、110、86kDの蛋白のリン酸化が引き起こされた(斉藤)。ウニ卵の主要ガングリオシドは細胞内膜系に存在すること、さらに、哺乳動物卵母細胞内膜系にもガングリオシドGD1aが存在していた。受精時の先体反応を誘起する物質(ARIS)の糖鎖構造の解析し、精子頭部の一部に局在する個とを明らかにした(星)。alpha系列ガングリオシドGM1n,CD1alpha、コリン作動性ニユーロン特異的ガングリオシド、アルカリ不安定なポリシアロガングリオシド等の中枢神経系に於ける局在を免疫化学的に明らかにした(平林)。ホモロジークーニングにより、5種類のシアル酸転移酵素のクローンを得、その一つはGaINAcalpha2,6-シアル酸転移酵素のcDNAであることが判明した(辻)。ガングリオシドはカルジュリン(CaM)依存性酵素のCBS(Ca^<2+>/CaMに結合する部位)に結合することによって酵素を活性化し、CLBS(CBSと相補的に結合しているCaMに似た性質を持つた部位)に結合することで酵素活性を直接に、Ca^<2+>/CaMに結合することで間接的に阻害することが明らかになつた(山形)。牛乳腺で産生される糖蛋白質の糖鎖のN-アセチルガラクトサミニル化は、細胞の機能分化と密接に繋がっていることが判明した(古川清)。小脳ではガングリオシドGM3はグリア系細胞に、GD3に顆粒細胞層と白質に、GD2は顆粒細胞層に特異的に発現していることが免疫組織学的に証明できた。またガラクトシルセラミドとスルフアチドの発現はミエリンに限局し、GM4はアストログリアに特異的に観察された(田井)。

研究成果

• [文献書誌] Sakai,T.,Kawakatsu,H.,Hitota,N.,et al.: "Tenascin Expression in vitro and in vivo: Comparison between Epithelial and Nonepithelial Rat Cell,Lines." Exp.Cell Res.206. 244-254 (1993)
• [文献書誌] Ogiso,M.,et al.: "Characterization of neutral glycosphingoligpids in human cataractous lens." J.Biol.Chem.268. 13242-13247 (1993)
• [文献書誌] Ito,M.,et al.: "Kinetics of endoglycoceramidase action toward cell-surface giyco sphingolipids of eryhrooytes." Eur.J.Bioehem.218. 645-649 (1993)
• [文献書誌] Nkata,N.,et al.:"Structural study of the sugar chains of CD36 purified from bovine mammary epithelisl cells-Occurrence of novel hybrid-type sugar chains containing the Neu5Aealpha2→6GalNAebeta1→4GlcNAc and the Manalpha1→3Manalpha 1→Manalpha1→6 Mar groups." Biochemistry.32. 4369-4389 (1993)
• [文献書誌] Hidari,KIPJ,et al.:"A novel ganglioside with free amino grup in bovine brain." Biochem.J.296. 259-263 (1993)
• [文献書誌] Kotani,M.,et al.:"Differentinal distribution of major gangliosides in the rat central nervous system detected by specific monoclonal antibodies." Glycobiology.:. 3. 137-146 (1993)
• [文献書誌] Lee,Y-C,et al.:"Molecular cloning and expression of Galbeta1,3GalNAcalpha2,3-sialylt.ransferase from mouse brain" Eur.J.Biochem.,. 21. 377-385 (1993)