研究課題/領域番号 |
05274204
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
加藤 宏司 山形大学, 医学部, 教授 (30006746)
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研究分担者 |
宮川 博義 山形大学, 医学部, 助手 (90166124)
伊藤 憲一 山形大学, 医学部, 助手 (40124408)
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キーワード | hippocampal slice / Voltage-gated Ca channel / ganglioside(GQ1b) / long-term potentiation(LTP) / synaptic plasticity / θ-burst stimulation / ω-AgaIV and Ni / tetanic stimulation |
研究概要 |
モルモットの海馬スライス(500μm)のCA1ニューロンを対象にして、ガングリオシドのシナプス長期増強(LTP)に対する効果を検討した。 LTPの誘導には、NMDAチャネルからのカルシュムの流入で十分であり、電位依存性のカルシウムチャネルは関係がないと、一般的には、考えられている。しかし、昨年度までの我々の実験から、ガングリオシド(GQ1b)のLTP誘導に対する陽性の効果は、電位依存性カルシウムチャネルを介し、細胞内カルシウムを増大させることと関係する可能性があると思われた。そこで、2つのステップで実験を行った。一つは、新しく知られてきたP型電位依存性カルシウムチャネル阻害剤ω-AgaIVと、T型チャンネル阻害剤のニッケル(Ni)で、LTPが抑えられるかどうかを検討した。その結果、これらを前投与することによりLTPが抑えられることがわかった。そこで次のステップとして、ガングリオシドGQ1bが、これらの阻害剤によるLTPの誘導抑制に対して、陽性効果が見られるかどうかを検討する実験を始めた。 I)阻害剤がない場合のLTP(コントロール)の程度は193±12%(n=8)であるのに対して、ω-AgaIV(60μM)あるいはNi(25-50 μM)の前投与で、それぞれ、131±14%(n=8)、133±13%(n=6)であり、LTPの誘導は有意に抑制された。この結果は、LTP誘導に電位依存性カルシウムチャネルも関与していることを示している。従来の結論と異なる結果が出た要因は、強いテタヌス刺激と違い、LTP誘導のための刺激として、(1)θ-burstの刺激(100Hzで5発のバースト刺激を200msecの間隔で10回与える。発数は従来の半分である。)を使い、(2)刺激の強さを集合EPSPを指標にして、従来より弱く(約1/3)して与えたこと、であると思われる。 II)カルシウムチャネル阻害剤を投与することによりLTPの誘導が抑えられることがわかったので、現在、ガングリオシドGQ1bを添加することで、LTPの誘導抑制効果に影響が見られるかどうかについて実験を進めている。これはまだデーターが少ないので統計的な有意差を検定するまでに至っていないが、GQ1b(5μg/ml)である程度抑制効果が抑えられる傾向がある(n=3)。このことからガングリオシドが電位依存性のカルシウムチャネルに作用すると考えている。
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