ブタ小腸ヘパリンをFlavobacterium heparinum由来のヘパリナーゼ、ヘパリチナーゼIとIIの混合物で消化後、消化で生成した硫酸化三糖および四糖を単離・精製し、糖組成分析、質量分析、ヘパリチナーゼやスルファターゼによる消化、^1HNMRスペクトルの解析などを組み合わせて、構造解析した。その結果、三種類の硫酸化四糖はアンチトロンビンIIIとの結合ドメインにしかないグルコサミン3硫酸構造を共有しており、この部位由来であり、これらの四糖は上記のどのヘパリン分解酵素でも分解されない特異な性質を有することが判明した。また、これら以外にも10種類の硫酸化四糖と1種類の硫酸化三糖の構造を明らかにし、これらのオリゴ糖を酵素基質として、上記のヘパリナーゼやヘパリチナーゼの基質特異性も明らかにすることができた。 一方、クジラ軟骨由来のコンドロイチン4硫酸、サメ軟骨由来のコンドロイチン6硫酸およびコンドロイチン硫酸D、イカ軟骨由来のコンドロイチン硫酸EをコンドロイチナーゼABCで消化し、その消化物から様々の硫酸化四糖や三糖を単離精製し、同様の方法で構造解析した。これらの硫酸化オリゴ糖を基質として用いることによって、コンドロイチナーゼABC、コンドロ4スルファターゼ、コンドロ6スルファターゼ、2-スルファターゼといった、構造解析に必須の酵素の基質特異性を明らかにすることができた。
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