研究課題/領域番号 |
05276102
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
森 仁志 名古屋大学, 農学部, 助教授 (20220014)
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研究分担者 |
山口 淳二 生物分子応答研究センター, 助教授 (10183120)
山口 五十麿 東京大学, 農学部, 助教授 (00012013)
山本 興太郎 北海道大学, 地球環境学研究科, 助教授 (80142008)
佐藤 隆英 千葉大学, 園芸学部, 助教授 (60125929)
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キーワード | 植物ホルモン / エチレン / オーキシン / シベレリン |
研究概要 |
本研究は植物ホルモンの生合成と作用機構を分子レベルで解明しようとするものである。平成6年度は次のような成果が得られた。 1.エチレン生合成の分子機構 エチレン生合成の律速酵素ACC合成酵素の発現調節機構を解析するために、トマトLE-ACS2に対するセンス及びアンチセンスの形質転換トマトを作出した。この中から果実の追熱遅延が起こった形質転換体を選抜してLE-ACS2の発現を解析したところ、コントロールに比べてLE-ACS2の発現は著しく抑えられていた。この時追熱に関係していると考えられているpolygalacturonaseやACC酸化酵素の発現はほとんど影響を受けていなかった。また、メロン果実の追熟は果実の中央部分、即ち胎座や種子部分から開始されることを昨年度明らかにしたが、今年度はさらにエチレン生成に対する種子の役割について受粉果実と単為結実果実を用いて検討した。両果実の追熟進行を比較することにより、種子から発生するエチレンが追熟に深く関わっており、ACC合成酵素とACC酸化酵素の発現が上昇していた。こちらに対するいくつかのcDNAのクローン化にも成功した。 2.オーキシン機構の分子機構 既にオーキシン誘導性遺伝子はいくつか単離して解析が行っているが、さらに多くの遺伝子を単離する必要がある。そこでdifferential display法を用いオーキシン誘導性遺伝子の検索を行い、これまでに報告されていない複数のcDNAの単離に成功した。これらのクローンについて解析を行っている。また、既に単離しているARG1,2cDNAの遺伝子の単離にも成功し解析している。さらにオーキシン誘導性のω3脂肪酸不飽和化酵素、グルタチオン-S-トランスフェラーゼの役割についても解析した。 3.ジベレリン作用に関する研究 ジベレリン作用のレセプターを同定するためにジベレリン結合タンパク質の検出、精製をアズキ胚軸、矮性イネ「短銀坊主」の芽ばえ、キュウリ芽ばえを用いて行い部分精製に成功した。今後完全精製し、タンパク質の同定を目指す。また、ジベレリン誘導性の遺伝子単離のためにdifferential display法を用い、複数のcDNA単離に成功した。この中の一つは3-deoxy-D-arabino-heptulosenate7-phosphate synthaseであることを明らかにした。ジベレリン感受性の矮性突然変異体とその親株である「シオカリ」を用いたRAPD法により、変異遺伝子の候補となるDNA断片のクローン化に成功し、その解析を進行させている。
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