本年度は、ミズワラビにおいて細胞の伸長方向制御が狂った突然変異体の単離を進めるとともに、突然変異体が単離できた際に植物ホルモンによる伸長制御が実際に異常になっていることを検定するために必要な、ミズワラビ配偶体の伸長に対する植物ホルモンの効果を検討した。 まず、実験系を確立するため、配偶体の伸長様式と、伸長に対する植物ホルモンの効果を解析した。暗所で生長した配偶体は、先端部に頂端分裂組織と思われる細かい細胞、基部に徒長した細長い細胞を持っていた。細胞の伸長は、おのおのの細胞列において先端部と基部の中間の2-3個の細胞で起こることがわかった。表層微小管の配向は、伸長域では生長軸に直角、それより基部では生長軸に斜めか平行であった。生長に対する様々な植物ホルモンの効果を調べたところ、ジベレリン以外のホルモンは、従来茎や幼葉鞘で知られている効果と非常に似た効果を示した。外から与えたジベレリンは伸長に効果がなかったが、ジベレリン合成阻害剤ウニコナゾールは配偶体の伸長を抑制した。アブシジン酸による伸長抑制時の微小管の配向を調べたが、伸長域の微小管配向に顕著な変化はなかった。 一方で、細胞の伸長方向制御が狂った突然変異体の単離を試みた。当初計画のアブシジン酸による伸長抑制が異常になった配偶体をスクリーニングする方法は失敗したので、ホルモン処理を使わずに35度の高温下で細胞が膨潤する配偶体を選び、培養した。6.5x10^5個の胞子から87個体の配偶体を選択した。多くの個体はうまく育たなかったが、生き残った突然変異体候補の系統を現在解析している。
|