形態形成の調節機構-初期発生を制御する分子機構

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05277104
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 浅島 誠 東京大学, 教養学部, 教授 (00090564)
• 研究分担者: 杉野 弘 徳島大学, 酵素科学研究センター, 教授 (50211305) ; 村松 喬 名古屋大学, 医学部, 教授 (00030891) ; 上野 直人 北海道大学, 薬学部, 教授 (40221105)
• キーワード: アクチビン / BMP / 神経誘導 / 内胚葉分化 / 胴尾部構造 / ミドカイニン / ビテロゲニン / フォリスタチン

研究概要

アニマルキャップ(未分化細胞塊)を用いてアクチビン処理によって次の事柄が明らかになった。まずイモリのアニマルキャップをアクチビンで100ng/ml、1時間、処理した後にすぐに2枚の未分化細胞で包んでサンドウィッチにして培養すると胴尾部構造ができてきた。この構造の中には拍動する心臓もみられた。また処理後、しばらくSteinberg氏溶液中で8時間、放置し、その後、サンドウィッチすると今度は目や前脳構造をもった頭部構造がみられた。未分化細胞とアクチビン処理片だけを用いてin vitro系で初めて、体の部域をもつ構造をつくることが可能となった。またBMP-2と4についてのレセプターがクローニングされた。このレセプターをツメガエルの腹側に注入すると二次軸を形成した。更にBMP-4の受容体のレセプターの細胞内ドメインを欠失した遺伝子を注入すると中胚葉の分化がおこらなくなった。そしてBMP-2の受容体のover expressionした後、アニマルキャップを切り出して培養すると神経細胞の分化がみられた。ミドカイニン(MK)が神経の初期胚で強く発現していることがわかった。また、細胞のガン化とも深く結び付いていた。一方、アクチビンとフォリスタチンが卵黄タンパク質であるビテロゲニンとも強く結合していて、卵形成に極性をつくりながら貯蔵していることがわかった。

研究成果

• [文献書誌] Kinoshita,K.et al.: "Effect of activin and lithium on isolated Xenopus animal blastomeres and response alteration at the midblastula transition" Development. 121. 1581-1589 (1995)
• [文献書誌] Ariizumi,T.et al.: "Control of the embryunic body plan of the newt by activin A: Time-dependent induction properties of the activin-treated ectoderm." Roux′Archives Develop. Biol.204. 427-435 (1995)
• [文献書誌] Yamaguchi,K.et al.: "Identification of a novel member of MAPKKK as a potential mediator of TGF-b signal transduction." Science. 270. 2008-2011 (1995)
• [文献書誌] Mishina,Y.et al.: "Bmpr encodes a tyoe I bone morphogenetic protein receptor that is essential for gastrulation during mouse embryogenesis." Genes Dev.9. 302-304 (1995)
• [文献書誌] Sekiguchi,K.et al.: "Restricted expression of Xenopus midkine gene during early development" J.Biochemisty. 118. 94-100 (1995)
• [文献書誌] Nakano,H.et al.: "Comparison of Mesoderm-Inducing Activity with Monomeric and Dimeric Inhibin Alpha and Beta-A Subunits Xenopus Xenopus Ectoderm" Hormone Research. 44. 15-22 (1995)