研究概要 |
(a)アフリカツメガエル受精卵を用いた実験系の確立 アフリカツメガエルの受精卵を定期的に得るため,カエル飼育設備を作製した。また,餌としてウナギ合成餌やニワトリ肝などを検討した結果,ニワトリ肝を用いた。次に,カエル受精卵へのRNAを注入する装置をドラモンドのマイクロインジェクション装置を用いて組み立てた。その装置を用いて,Xwnt-8RNAのマイクロインジェクションを行い,二次軸誘導能を調べた。その結果,まだ安定な結果が得られないが,この装置により二次軸誘導能が調べられることを確認した。 (b)ニワトリ肢芽mRNAのカエル胚における二次軸誘導能 200個のニワトリ4日胚の肢芽から,Chirgwinらの方法でRNAを調製しOligo-texを用いてmRNAを精製した。さらに,得られたmRNAのサイズ分画を10-30%(w/v)のショ糖密度勾配遠心法により行った。得られた27分画について,カエル胚の二次軸誘導能を調べた。分画したmRNAを1ng/nlの濃度に調製し,ツメガエル受精卵の16細胞期の腹側植物極の対称な2カ所にマイクロインジェクションを行った。原腸胚,神経胚,尾芽胚において形態に変化があるかどうかを観察した。その結果,27分画の中でNo.13とNo.14のRNA分画に二次軸誘導能があることがわかった。この結果は2回目の同様な実験においても再現された。従って、ニワトリ肢芽において,カエル二次軸を誘導する活性を持つmRNAが存在すると考えられ,それがどのようなタンパク質をコードしているかが次の問題である。
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