ごみ有料化実施による家庭での資源消費節約型生活への効果を明らかにすることを目的として、今年度は次の2つの事項に関する知見を得た。 1)広く全国の有料化実施都市での家庭系ごみ排出量に関する正確な情報を得て、どのようなごみが減っているのかを明らかにする。また、資源回収量に関する資料も収集し、その動向を調査する。 2)北海道長万部町を対象として、市民の有料化実施前後でのごみ排出行動や意識の変化を明らかにするためにアンケート調査を行う。 1)に関する知見 近年、有料化を実施し、ごみの正確な計量を行っている北海道内の伊達市、倶知安市、北部檜山地区(4町合同処理)、長万部町、そして滋賀県守山市、島根県出雲市についてごみ資料を収集した。その結果、重量比で可燃ごみが20〜40%減少している。一方、不燃ごみの減少は顕著でなかった。資源回収量は新聞・雑誌類、ビールびんを中心として有料化実施後に増加しているが、それらの回収率は従来から高かったことから減量の主要因ではないと推定された。家庭系可燃ごみの主な成分は紙ごみと厨芥であると思われるので、市民は主に自宅での焼却及び堆肥化(自家処理)によりごみ減量を行ったと推定された。 2)に関する知見 筆者らの伊達市、長万部のアンケート調査結果及び他の研究者による北部檜山の結果を併せると、これらの都市では資源回収と自家処理を積極的に行っていることがわかった。特に、資源回収は有料化以前から高い実施率で行われていたが、自家処理については実施後に顕著に増加していた。また、資源回収は従来から回収率の高い新聞・雑誌類やビールびんについて行われ、これまでごみになっていたと思われる缶類やビールびん以外のびんの回収にまで及んでいないようであった。また、家庭での資源消費節約のための商品の買い控えはあまり広く行われてはいないようであった。 1)、2)の総括 有料化を契機として市民は資源回収や自家処理を積極的に行っているが、商品の買い控えをするにはまだ至っていないようである。結果的には、自家処理の実施が家庭系ごみ可燃ごみの減量という結果に結びついているようであった。 今後の課題として、今年度の研究成果は主に北海道内の有料化実施都市についてのものであり、北海道の地域特性(住民一人当たりの専有面積が広い、一戸建てが多いなど)が大きく影響している可能性があるので、さらに滋賀県守山市、島根県出雲市をはじめとした全国の主要な有料化実施都市でアンケート調査を実施して、今年度の研究の普遍性を確認する必要があると考えられる。
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