研究課題/領域番号 |
05278114
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研究種目 |
重点領域研究
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配分区分 | 補助金 |
研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
野村 大成 大阪大学, 医学部, 教授 (90089871)
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研究分担者 |
高橋 由明 新潟大学, 医学部, 講師 (60115045)
嶋 昭紘 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (60011590)
中島 裕夫 大阪大学, 医学部, 助手 (20237275)
福岡 正道 昭和薬科大学, 薬学部, 教授 (10173329)
藤井 儔子 帝京大学, 医学部, 主任教授 (70075224)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1997
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キーワード | 新人為起源有害物質 / 継世代的影響 / 生殖器障害 / 形態異常 / 分子遺伝学的異常 / 機能的異常 / 放射能汚染 / 子孫への伝達 |
研究概要 |
人類は、科学の進歩とともに、膨大な数の化学物質を地球上に造り出したことにより、人類の歴史上、これまで出くわしたことのない物質に曝露されることになった。本研究は、地球レベルでの情報収集と、最新の科学技術を用いて新人為起源有害物質の継世代的影響を総合的に研究することにより、人類の未来をうかがう研究成果を蓄積し、継世代人体障害の防護の資料とする。本年度の成果は以下の通りである。 1)継世代的障害:ダイオキシン(TCDD)の雄又は雌マウスへの投与により、子孫(F_1)に有意に優性致死と重度の奇形が発生した。^<60>Coγ線の低線量率連続照射によっても有意には至っていないが、F_1に腫瘍の上昇が見られた。思春期雄ラットへの除草剤LinuronやGlyphosate投与によりF_1に薬理学的異常(Ca感受性の増大と副甲状腺ホルモン分泌の低下)が見られた。雄メダカへの、ダイオキシンの作用によってもF_1に胚早期死、眼球形成異常が有意に増加した。 2)生殖器障害の分子レベルの解析:フタル酸エステルによるラット精子死亡は、赤血球への障害を介して支持細胞(セルトリ細胞)から精子細胞へのエネルギー伝達が障害されたことによる。TCDDの作用は精嚢に焦点をあて調査中である。 3)継世代影響の分子生化学的検出:新人為起源有害物質の継世代的影響は従来の突然変異などでは説明できない程、高率に子孫に発生する。その原因として、遺伝子不安定性をPCR法にて検出するため、反復配列DNA Pc-3をクローン化した。 4)チェルノブイリ事故による放射能汚染の遺伝的影響:食用植物(キノコ、イチゴ等)への強度の生物学的濃縮と野生動物(カエル等)への遺伝的影響(染色体異常)が見られた。ヒトにおいても、チェルノブイリ被曝者にWT1値の高度の上昇がみられ、白血病高発の可能性を示唆した。実験的にも汚染食物(イチゴ等)によりショウジョウバエで突然変異が有意に誘発された。
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