研究概要 |
既に明らかにしている、ムギネ酸類生合成経路のうち、S-アデノシルメチオニンからニコチアナミン(1)ニコチアナミンから未知のケト中間体(2)、さらにデオキシムギネ酸(3)までの経路を司る酵素の単離精製を試みた。鉄欠乏条件下で水耕栽培し、鉄欠乏クロロシスの現れたオオムギの新根のみを集め粗酵素液を調製した。(1)の酵素活性検定法としては、^<14>C-Sアデノシルメチオニンから^<14>C-ニコチアナミンの生成をHPLC,TLCにより検出する方法によった。同じく(2)の酵素はニコチアナミンを投与し、未知のケト中間体の生成を、ケト基に特異的な還元試薬NaBH_4を用いてデオキシムギネ酸に変換し、HPLCにより検出した。(3)の酵素についてはコファクターとしてα-ケトグルタル酸のみを与えた後中間体を生成後、各分画画分を添加してデオキシムギネ酸の生成をHPLCにより検出する。以上の検定法を用い、疎水クロマトグラフィー、ハイドロキシアパタイトカラム、二次元電気永動法により、(1)と(2)の酵素の部分精製に成功した。これらの部分アミノ酸配列を気相プロテインシークエンサーにより決定したところ、(1)の酵素についてはN末端がブロックされていたので、これを断片化し配列を決定している。(2)の酵素については4種類のペプチドのアミノ酸配列が得られた。これに相同のDNA合成プローブを作製し、鉄欠乏オオムギ根のcDNAライブラリーを用いて遺伝子のクローニングを行っている。さらに、合成プライマーを用いてPCRの手法により、この遺伝子をクローニングすることを試みている。
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