本研究課題では、環境負荷と家計の行動に着目し、さまざまな統計データを用いてのその関連の把握を試みようとしたものである。本年度は、特に家計の消費行動と、二酸化炭素の排出に着目し、まず最初に、家計の属性と直接エネルギー消費との関連を分析した。さらに直接エネルギーからの排出を含む家計起因の二酸化炭素排出量と、家計属性との関連を分析した。データは主に総務庁統計局による平成元年度全国消費実態調査のうち勤労者世帯を対象とした。 家計の属性と直接エネルギー消費の関連については、以下の点が明らかになった。 1)全国消費実態調査のデータに加えて、累年気候表を用いて、直接エネルギー消費を被説明変数とし、家計属性、地域の気候を説明変数として、重回帰分析を行った。その結果、集合住宅居住世帯では税引き後所得、0〜3歳児あり、家族人数、年最高気温、秋期最高気温、及び北陸、中国、九州、沖縄の地域ダミーが有意な変数として取り上げられた。また、一戸建て居住世帯では税引き後所得、共働き世帯ダミー、太陽熱温水器所有ダミー、世帯主年齢、家族人数、常用労働者世帯ダミー、秋期日照時間、及び北海道、東北、関東後いきダミーが有効な変数として取り上げられた。 2)重回帰分析の結果取り上げられた太陽熱温水器の所有ダミーの値を用いて太陽熱温水器使用の効果を評価したところ、太陽年限程度で元がとれることがわかった。 3)さらに産業連関表からもとめられた値を用いて、家計のCO2総排出量を被説明変数として同様に回帰分析をしたところ、税引き後所得、居住住宅面積、家族人数、世帯主年齢、太陽熱温水器、自家用車等の所有ダミー等が有意な変数として取り上げられた。
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