研究課題/領域番号 |
05278255
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研究機関 | 国立環境研究所 |
研究代表者 |
矢木 修身 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 室長 (40132865)
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研究分担者 |
中村 邦彦 国立水俣病研究センター, 基礎研究部, 室長
岩崎 一弘 国立環境研究所, 地域環境研究グループ, 研究員 (30193717)
内山 裕夫 国立環境研究所, 水土壌圏環境部, 主任研究員 (00185042)
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キーワード | 有機水銀 / 無機水銀分解細菌 / 土壌汚染 / バイオレメディエーション |
研究概要 |
水俣湾より分離した塩化第二水銀、塩化メチル水銀、塩化エチル水銀、酢酸フェニル水銀、チメロサール、パラクロロ安息香酸水銀、フルオレセイン酢酸水銀の7種の水銀化合物分解細菌78株について菌学的検討を行った。これらの細菌は、Bacillus subtilis、B.firmus、B.lentus、B.badiusでいずれBacillus属に属するものであった。これらの分解菌の各種水銀化合物に対する増殖阻害最小濃度は、フルオレセイン酢酸水銀は50-200mg/1、塩化第二水銀は2-50mg/1であった。塩化メチル水銀、塩化エチル水銀、チルロサールに対しては0.2-1mg/1と低い値であり、これらの物質は毒性が強いものと考えられた。しかしながら、いずれの物質も1mg/1以下であれば分解されることが判明した。 有機水銀分解菌78株の遺伝的性質について検討を加えた。細菌の分解能は、プラスミドではなく、すべて染色体DNAにコードされていた。 塩化第二水銀の分解能の強化を目的に、NR-1プラスミドにコードされているmerオペロン遺伝子を広宿主域ベクターpSUP104に連結し、組換えプラスミドpSR134を作成し電気パルス法によりPseudomonas putida、P.fluorescens、P.aeruginosa、E.coli、Klebsiella oxytocaの各種のグラム陰性細菌に導入し形質転換を試みた。得られた形質転換体は親株と比較し、高い塩化第二水銀分解能を示した。本研究において、グラム陰性細菌に分解遺伝子を導入することにより、水銀分解能を付与させる手法が可能となった。また、分解能を付与された組換え体は、土壌中で細胞数の異常増加は認められず、1g土壌当り10^7細胞添加しても一般微生物生態系に対する影響はほとんど認められなかった。
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