研究課題/領域番号 |
05301005
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 新二 東京大学, 文学部, 教授 (30114440)
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研究分担者 |
河東 仁 東京工業高等専門学校, 講師 (80224799)
進藤 英樹 帝京大学, 文学部, 助教授 (20216229)
棚次 正和 筑波大学, 思想系, 助教授 (30241748)
市川 裕 東京大学, 文学部, 助教授 (20223084)
島薗 進 東京大学, 文学部, 教授 (20143620)
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キーワード | 宗教と科学 / 民衆知 / 自然哲学 / 精神医学と宗教 / ユダヤ的知 / 宗教と近代化 |
研究概要 |
平成5年度補助金交付申請書には、1:主題に関わる基礎文献の収集、2:研究集会の開催による共通の基礎理解の確立、3:調査研究の遂行などを通じた個別研究の深化、の三点を研究手続きとして挙げたが、平成5年度は全体としてほぼこうした線に沿って研究がなされたと言うことができる。 研究の経過とともに、あらためて多様な分野に問題が及ぶことが確認されるとともに、同時にどの分野にも共通する問題が明かになってきた。それは、そもそも「宗教と科学」という二次的対立項でくくられる事態の背後には、そうした図式では捉えきれない多面的な問題状況が存在するとの事実である。とりわけ、近世初頭の自然哲学思想、明治期以来の諸思想・実践運動、あるいは精神医学的宗教論の系譜などの具体的資料の検討を通じて明らかになったのは、いわばそこでの「知」の多様性ということであった。すなわち「宗教知」と「科学知」両者がすでに複合的性格を持つとともに、両者の対立の周辺には、「代替知」「対抗知」「生活知」など様々な名を与えうる多様な知が存在し、各々の時代の知的布置をつくり、続く時代の地平ともなっているのである。「宗教と科学」との相関関係を考えるうえでは、従来あまり注目されることのなかったこうした知の多様性を把握することが不可欠であるとの理解が、初年次に得られた最も重要な知見であった。
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