研究課題
本研究では、縦断的に5歳時から7歳時を対象に、未熟児の新生児期の医学的情報を参考にしながら神経学的発達、知的発達、言語発達を評価した上で、幼稚園、保育園や小学校への適応状態を明かにしようと考えた。本年度は3年間の研究の初年度に当たり、既に立案した研究計画に従って研究を行った。S県小児医療センターに入院した経歴を持ち、その後の追跡が行われている出生体重が1500g未満の未熟児60名を対象に5歳時点での検診を行う旨の連絡をし、検診に応じた対象児に順次、1)神経学的検査、2)発達検査、3)知能検査、4)言語検査、5)家庭環境の調査、6)幼稚園・保育園への適応の調査を30名に行い、現在も実施中である。また、小学校における適応を調査するための資料収集および文献収集を行った。神経学的検査では、A神経学的徴侯(片足立ち、閉眼起立テスト、上肢回内回外テスト、継足歩行など)、B神経心理学的検査(描画、ことばの復唱など)、C soft neurological signなどについて検討した。この結果は現在集約中である。発達検査は、乳幼児精神発達質問紙(3-7歳)を実施し、知能検査はWPPSI知能診断検査を実施した。前者ではDQが90以下の者が14%で、後者ではIQ90以下の者が56%であり、健常児の一般的な結果に比べ遅れがみられた。言語検査では、A ITPA言語学習能力診断検査、B構音器官の運動機能、C続き絵の説明、D母子自由遊戯場面での発語を検査および観察した。ITPAではPLQが90以下の者が39%で、やはり健常児の一般的な結果と比べて遅れがみられた。B、C、Dについては、発語等を分析中である。幼稚園・保育園への適応については調査を継続中である。
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