研究課題/領域番号 |
05301026
|
研究機関 | 福岡大学 |
研究代表者 |
平兮 元章 福岡大学, 人文学部, 教授 (10140732)
|
研究分担者 |
清田 勝彦 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (60071726)
平田 順治 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (30036892)
保田井 進 福岡県立大学, 人間社会学部, 教授 (60085678)
内海 洋一 福岡県社会保育短期大学, 名誉教授
大橋 薫 聖徳大学, 人文学部, 教授 (90062067)
|
キーワード | 筑豊地域 / 嘉飯山地区 / 石炭産業 / 同和問題 / 社会問題 / 社会福祉 / 社会病理 / 地域再生 |
研究概要 |
石炭産業衰退後の筑豊地方の社会・経済システム及び広義の社会福祉は、飯塚市を除いては、立ち遅れているのが現状である。飯塚市の再生の原因は、産業振興事業、福岡市・北九州市への交通アクセスを含めた基盤整備事業にいち早く着手し、財政支援体制の確保を行ったところにある。他の市町は、当局の努力にも拘わらず、企業誘致・産業振興事業、基盤整備事業、財政支援措置等にかなりの遅れを来している。また、居住環境も悪化しており、未だに老朽化した炭住の払い下げを持ち家としている人々がかなりの数にのぼっており、公営・公団・公社の借家率も高い。桂川町や穂波町のように福岡市のベッドタウン化している地域もあれば、山田市のように陸の孤島化している地域もある。雇用率も低く、生活保護率も全国平均をはるかに上回っている。したがって、これらの要因が社会病理現象や社会問題を生み出す変数として作用していると考えられ、地域住民に蓄積するストレスは多く、自殺率や罹患率も他地域と比較して高いものとなっている。犯罪・非行を含む逸脱行動も人口比でみた場合には、福岡市や北九州市よりも多くなっている。逸脱行動は、石炭産業の発展・衰退と密接に結びついてきたこの地域独特の社会構造や文化と切り離しては考えられない。さらに、生活保護、雇用、居住環境、学校教育、社会教育等における諸問題は、同和問題との関わりが深く、この問題の抜本的な解決の努力なくしては、筑豊地域の社会福祉の充実は望み難いことも明らかとなった。 三年間にわたったこの地域の調査研究は、学際的で総合的なものであるだけに、稀少であり、筑豊地域の再生と社会福祉の充実にとって有用な知見を提供しうるであろう。
|