本研究の目的は現代農村の農業生産構造や村落構造の分析を通じてその問題状況を把握し農民の対応を明らかにし、地域農業の再生と農村社会の存続の可能性をを探る事、究極的には農民が農業危機を乗り越え、生き生きとした地域生活を展開し豊かな地域文化を創造できる新たな農村のために必要な対策は何かを提示する事である。 東北地方の農業構造、農業経営は人口減少や高齢化の進展、農産物の輸入増加等によって一段と衰退化している。このような農業と農村の変化の中で農民、特に中山間地域の農民はは多くの村落が消滅してしまうのではないかという危機意識を持ってきている。そこで本研究ではそのような地域の農民や行政がどのような対応を見せているか、またその問題状況を把握し、今後の経済的・社会的活性化を図り地域農業の方向性と可能性を探りながら農村の地域社会存続の可能性を実証的に探求した。その結果、東北地方の農村=特に中山間地=は極めて厳しい農業環境にある中で、国策とはやや距離を置きながら地域農業を確立し、村を存続しようとしている地域では、農民自身がそれぞれの地域で生活を確立するための注目すべき独自的生き方も見られる。行政もがこれを支援するという事例もある。そのような農民たちの価値意識・生活意識についても検討し、新しい農業政策の必要がある事を事例的調査によって明らかにした。また後継者問題は農村独身青年の結婚問題と直結する。広範な地域青年の生活や結婚に関する意識を明らかにできたことも大きな成果であった。 最終年度は過去2年間の調査で不十分であった研究対象地の補充調査を実施しまた収集された資料の分析を行い研究の総括に努めた。
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