研究課題/領域番号 |
05301028
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
竹田 正直 北海道大学, 教育学部, 教授 (80000636)
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研究分担者 |
関 啓子 一橋大学, 社会学部, 教授 (20107155)
田子 健 名城大学, 教職課程部, 助教授 (70167493)
村知 稔三 長崎大学, 教育学部, 助教授 (00190926)
福田 誠治 都留文科大学, 文学部, 教授 (30128631)
所 伸一 北海道大学, 教育学部, 助教授 (50133682)
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キーワード | ロシア / 教育 / 歴史 / 児童学 / 義務教育 |
研究概要 |
計画の班ごとに実績を述べる。第1班「教育計画と教育統制」では、1928年以降の「5カ年計画」による工業化・農業集団化との関連で初等義務教育の施行経緯が検討され、1929年秋の時点で、学齢児童の親に就学義務を課し義務違反に対する罰金・強制労働の措置を導入する、政治姿勢転換が見られたことを初めて明らかにした。また、中国と接するソ連周辺部=満州における外交実務活動記録の分析を通してソビエト教育政策の地方貫徹の状況が検討された。 第2班「普通教育と児童学」の作業では、地域の実態を児童に学ばせるカリキュラム開発方法としての「郷土研究」につき、その1932年の転換が地域の生産力可能性の教育に傾斜したことを明らかにし、また就学前施設をめぐる論争史の分析から、地方資金と初歩的な施設(夏期子ども広場等)を動員して児童の施設包摂を進めた実態を明るみにした。 第3班「労働・生活と児童学」の研究では、30年代前半ロシアの学校における進学準備も容認した教科教育への転換とそのもとでの労働教育の不振、1937年の「労働科」の公的廃止の過程と現場におけるその不徹底などを初めて明らかにし、学会誌に発表した。また、ソビエト児童学が「文化的に遅れた」民族の子どもの心理調査を行い、教育環境の改善による子どもの成長・発達保障という「文化歴史学派」の主張を形成して行ったことを解明した。 以上から本共同研究は、1930年代ロシアの教育について、限られた資金の下で近代化と国民統合を行うため動員される中央集権的なものに転換させられたこと、そこにおいて児童学が従来勉学機会に恵まれなかった諸階層・少数民族の児童の発達可能性を証明する役割を担いボリシェヴィキ路線に沿っていたことを総合的に明らかにすることができた。
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