研究課題/領域番号 |
05301032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 渥美 京都大学, 教育学部, 教授 (70027960)
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研究分担者 |
吉田 敦彦 神戸市立外国語大学, 外国語学部, 助教授 (20210677)
毛利 猛 香川大学, 教育学部, 助教授 (50219961)
田中 毎実 愛媛大学, 教育学部, 教授 (70093432)
中村 清 宇都宮大学, 教育学部, 教授 (20030033)
山崎 高哉 京都大学, 教育学部, 教授 (60068749)
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キーワード | 教育責任 / 責任 / 世代 / 異世代間相互規制 / 人間形成 / 生涯教育 / 人間形成論 / 教育人間学 |
研究概要 |
1.文献の整理と検討。「教育責任」に関する基本文献としては、まず伝統的な精神科学的教育学の文献が挙げられる。そこでは確かに、例えばH.ノールやW.フリットナーに見られるように、主に教育関係論の文脈で「教師の責任」について多数の言及がなされているが、しかし、体系的な「教育責任」論が展開されているわけではない。1980年代に入ってようやく、徐々に本格的な「教育責任」論が登場するようになった。現在最も体系的な「教育責任」論を展開しているのはH.ダンナーであるが、しかしそれは、我々が目指しているような、「人間の存在と生涯」の全体構造を踏まえ、特に世代間形成を視点に入れた研究ではない。我が国について言えば、「教育責任」に関する体系的研究は皆無である。このように、国内外を問わず現在、「教育責任」に関して原理論的・人間形成論的な考察を加えた研究は、ほとんど見られない。 2.研究の全体的方向性と次年度の計画。「教育責任(padagogische Verantwortung)」は、一般的に、「人間生成」ないし「人間形成」への「責任」として捉えうるが、それは、人間が本来的に、「対話的」・「呼応的」関係にあり、相互に「応答(antworten)」し合う存在であるところに成立する。我々は、教育責任が問題となる生涯の主要局面、すなわち「性」と「産」、「育」と「教」、「伝達」と「指導」、更には「覚醒」などの諸局面における先行世代と後続世代との「応答」関係、更にいえば異世代間の"mutual Regulation"を考察することによって、「教育責任」の基本構造を明らかにする。次年度は、教育責任の人間学的前提、教育責任の弁証法的構造、人生の諸局面での世代間相互応答・相互規制、教育責任の限界と超越的次元など、我々の研究にとって鍵となる諸問題を検討することを通じて、本研究の全体的枠組みを更に確固たるものにし、研究の深化を図る。
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