研究課題/領域番号 |
05301032
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岡田 渥美 京都大学, 教育学部, 教授 (70027960)
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研究分担者 |
山口 充 近畿大学, 教職教育部, 教授 (80158120)
斎藤 育子 西南女学院短期大学, 家政科, 助教授 (60215530)
毛利 猛 香川大学, 教育学部, 助教授 (50219961)
大西 正倫 大谷大学, 短期大学部, 助教授 (40169016)
伊藤 一也 奈良女子大学, 文学部, 助教授 (70159862)
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キーワード | 教育責任 / 人間形成 / 世代連鎖 / 異世代間相互形成 / ホモ・エドウカンス / 人間形成論 / 生涯教育 / 教育人間学 |
研究概要 |
1.研究成果報告書の作成。「教育責任」を主題とする本総合研究の最終年度に当たる今年度は、前年度策定した研究の全体的枠組みと研究分担に即して各自の研究を深化させ、その成果を研究成果報告書に纏めた。まず第一章では、「教育責任」が主題化されざるを得ない理論的及び実践的必然性を明らかにし、我々が目指す「人間形成論的教育責任論」の大まかな輪郭を描出した。人間の存在と生涯の「全体」、つまり人間まるごとの「全一性」(as a whole)に即した「人間形成論」を構築するためには必然的に、「世代連鎖」を理論枠に組み込まねばならないが、ここに自ずから、先行世代による後続世代に対する「教育責任」が不可避的な問題として顕在化してくる。この総括的考察を受けて、第二章では、「子どもに対する」大人の教育責任を、第三章では、子どもを導く大人の「自己自身に対する」教育責任を考察し、そして第三章では、教育責任の基本構造が、単に子どもと大人との関係にとどまらず、「子どもと大人と神」との三者の関係性にあることを明らかにした。これらの考察を通じて我々は、教育責任の問題が、超越的なものに対する「信仰」を媒介とする「異世代間の相互形成」の問題であることを明らかにするとともに、翻ってこの教育責任問題の視覚から、「異世代間の相互規制・相互形成」こそまさしく、人間の「存在」と「形成」の基本構造であることを明らかにした。 2.著書出版のための準備と残された課題。我々は「異世代間相互形成」を理論枠に組み込んだ「人間形成論的教育責任論」を展開しようと試みたが、しかし今回は、その全体的な輪郭を素描するに止まった。我々は今後、「性」と「産」の問題や、また、今回は試論に止まった「ジェネラティヴィティ」の問題を掘り下げ、包括的・原理的な「教育責任論」を構築し、その成果を著書にして公表する予定である。
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