研究課題/領域番号 |
05301047
|
研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
村岡 健次 甲南大学, 文学部, 教授 (40031778)
|
研究分担者 |
深尾 裕造 島根大学, 法文学部, 助教授 (20135891)
川島 昭夫 京都大学, 総合人間学部, 助教授 (00128779)
安原 義仁 広島大学, 教育学部, 助教授 (00093823)
松塚 俊三 福岡大学, 人文学部, 教授 (10165821)
藤井 泰 松山大学, 経営学部, 教授 (80148783)
|
キーワード | パブリック・スクール / 資格試験 / ジェントルマン教育 / 市民大学 / ハイヤー・グレート・スクール / 軍隊教育 / 法曹教育 / 医学校 |
研究概要 |
【本年度の研究経過】前年度に引き続き今年も、留学した1名(秋田 茂)を除き、10名の研究分担者全員がそれぞれ報告を行い、その都度全員での討議を繰り返した。会合は都合3回行われ、内2回は2日間にわたり、合宿の形をとった。 【本年度の研究成果】本年度の総合研究を通じて、前年度の研究で明らかになってきたことが(この点については、平成5年度の実績報告を参照)、さらに一層明確となった。 19世紀のイギリスは経済最先進国で、自由放任の風潮が支配的であたため、他の西欧諸国と比べて、大衆の公教育化のテンポがそれだけ遅く、エリート教育は、アマチュアリズムのジェントルマン教育がその特色となっていた。研究を始めるにあたって、われわれは、1870年代以降20世紀初頭の帝国主義期には、イギリスにおいても教育の近代化(=民主化と専門化)が著しく進んだと予測していたが、研究の結果はこの期待を大きく裏切るものとなった。たしかにこの時期に、大衆の公教育化は進んだが、エリート教育では、試験制度の導入などそれなりの専門化が計られたとはいえ、医学教育以外のほとんどの分野で、中流層を広範に取り込んでむしろ伝統的なジェントルマン教育が強化されていく実態が判明した。とくに中等教育の保守的改革がその核となったといいうる。女子教育も、拡大されたといえ、なお淑女教育の域を出ることができなかった。 【今後の予定】本総合研究の成果の詳細は、平成8年3月に『大英帝国の教育と社会』の標題で名古屋大学出版会から刊行される予定である。
|