研究課題
1.本年は、9月(静岡大学)・12月(奈良国立文化財研究所)の2回の全体会議、10月(名古屋学院大学)の方言班会議を開いて意見交換をすすめた。静岡では大木康・金文京・太田斎とゲストの山東大学曹志耘氏が報告し、今後の国際共同研究の基礎固めという目的を果たした。奈良では岩田礼・遠藤光暁・太田斎・木津祐子・佐藤進・平田昌司とゲストの九州大学宮本一夫氏が研究報告をおこない、考古・建築・文学と中国語方言の相互参照をすすめる手がかりをえた。また、名古屋会議は主として方言地図集作成の実務に重点をおいたものである。2.研究の中心は、中国語方言の調査研究に他分野の研究とをいかに統合するか、という初年度に扱った問題から、(1)中国の方言と地域文化にかかわる各分野の研究の過去の成果の検討、(2)方言地図集の作成とその解釈・分析に移りつつある。その成果としては、分担執筆による報告書『中国の方言と地域文化(2)』〔中国語方言全国地図集〕・『同(3)』〔中国地域文化研究文献の書評集〕の2冊の原稿をとりまとめることができた。いずれもこの分野では他にほとんど類例をみない内容となっている。また分担者佐藤進によるデータベース蓄積用プログラムの設計も試作品が完成し、研究分担者および研究協力者に配布され、現在改良されつつある。3.本年度購入した備品のうち、図書(地図を含む)は方言地図データ収集・解釈に、バソコン2台(研究分担者太田斉・遠藤光暁が使用)はデータベース作成・資料整理用として有効に活用された。一部の研究分担者が阪神大震災に被災したため、成果発表に遅延を生じたが、全体としてはほぼ予定どおり進行しつつある。4.来年度は、方言および地域文化研究文献目録・調査地点リスト(佐藤進編)、書評第2集(平田昌司編)を中心に、討議と作業をすすめる計画である。
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