研究課題
本年度は、2回の全体研究会を開催した。報告書第4冊に掲載する書評の予備発表、既に昨年度刊行した報告書第2冊「漢語方言地図集」の改訂増補のための検討以外に、7月(東京・学士会館)には梅祖麟氏の「唐宋共通語」仮説をめぐる問題点の検証、12月(神戸青年学生センター)には客家語と北方方言・江西方言・福建方言の関係をめぐる討議を企画実施して、このふたつの問題をめぐる研究を進展させ、参加者の認識も深めることができた。本年度の中心的な作業内容は、岩田礼氏を代表者とする平成1-3年度科研費総合(A)「漢語諸方言の総合的研究」の報告書のうち、「漢語方言資料地点リスト」および「漢語方言資料目録稿」の改訂である。本研究では、総記・音韻・文法・語彙の主題別に改編した目録を作成することに方針を定め、分類の検討、前目録の検討、1991-95年に発表された関係著書論文の増補、の3つの作業を中国語学関係の代表者・分担者の手でおこない、結果をえた。以上の成果として、(1)研究会の討議をへた書評論文を中心におさめる報告書「中国の方言と地域文化(4)」、(2)『中国語記述文献(主題別)目録稿』をおさめる報告書「同(5)」の2冊を刊行する。方言地図を中心とした中国語の研究、領域間のすきまを埋める方法論の検討のいずれの面においても、本研究は現時点で国際的に最も高い水準にあるといってもよい。今後の継続によりさらに豊かな成果をあげることがみこまれるため、青山学院大学の遠藤光暁氏を代表者として平成8-10年度の科学研究費総合研究(A)を申請、ひきつづいて研究を展開する準備をしている。
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