研究課題
総合研究(A)
本研究は、中国語方言学と中国地域文化研究の総合をめざし、中国語方言の研究者と人類学・農業史・社会史・俗文学・建築学の専門家をまじえた形で組織された。研究内容は、1989〜92年に岩田礼氏によって組織された「漢語諸方言の総合的研究」を継承した、1.中国語方言地図集の編纂(34項目)、2.中国語方言記述研究(主題別)目録稿の編纂、3.中国語方言資料地点別リストの改訂、を中心とし、さらに4分野間の相互理解をすすめるための研究展望を含んだ書評集の作成、もおこなった。以下、個別に概要を記す。1.方言地図 「漢語諸方言の総合的研究」で作成した地図と重複しないものが多く、方法論的にも文献資料の応用・方言と民俗の結合など新しい試みをもりこんだ。2.記述研究目録 1920年代から1995年までに公刊された中国語方言の記述研究を、総記・音声音韻・文法・語彙の4分野にわけ、それぞれ省・地名から検索できるように作成した。3.地点別リスト dBaseまたはMS-Worksのデータベースで検索可能な、上記(2)の母胎となった地点リストを作成した。4.書評集 1980年代以来の中国語方言および地域文化研究をめぐる重要な著作16種を選び、研究史的展望を含んだ書評を分担執筆し報告書として刊行した。上記のうち、とくに(1)(3)については、上記「漢語諸方言の総合的研究」以来、他に比類をみない。今後は、地域文化の広がりと自然・生態条件の制約との相関をめぐる研究へと発展することが見こまれている。
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