研究課題
イタリア文学研究者は、ゴルドーニ、ゴッツィ、アルフィエーリなどの劇作家、パリーニ、フォスコロ、モンティ、マンゾーニなどの文学者、ムラトーリなどの歴史学者、アルガロッティなどの科学啓蒙家や自然科学者の作品、さらに「イル・カッフェ」を中心とした当時のジャーナリズムにかかわる文献・資料、そして全般的な社会背景をめぐる文献・資料を収集・整理することを担当した。イタリア語学研究者は、チェザロッティの作品や当時の言語問題にかかわる文献・資料を、イタリア史研究者は、当時の社会構造の再構築を試みるための文献・資料を、さらにイタリア政治史研究者は、ベッカリーアやヴェッリなどの政治経済思想家の作品およびそれに関連する文献・資料の収集・整理を担当した。これらの基本的な文献・資料をもとにして研究分担者は各自個別的研究を進めてゆき、またそれと同時に研究発表会で相互に進捗状況を報告し合い意見を交換し合って、その結果をふたたび各自の個別的研究をする上での参考にするという形態で、活動を進めていった。その結果、本年度は、18世紀半ばから19世紀前半にわたって、ジャーナリズム、政治、経済、文学、演劇、歴史学、言語思想、自然科学などの広範な領域で、イタリアの知識人たちが、どのように先進文化を摂取・消化したか、そしてコスモポリティスムと民族意識のはざまで揺れながら、どのように自己の思想を展開していったかを個々にほぼ分析できてきたので、今後は、これを踏まえて、これらの個々の知識人の思想の展開ないしは変化を各研究分担者が通時的にまとめた上で、さらには国際情勢と政治的状況の変化に合わせて各時期に各知識人がとっていた社会的態度を相互に共時的に比較することによって、啓蒙主義の時代からロマン主義の時代にいたるイタリア社会と知識人階級の関係の変遷をつぶさに再構築することが課題となる。
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