研究課題
本年度は、第2年度として、各研究分担者が3つのチームに分かれて、それぞれ研究課題を遂行した。第1グループは、契約過程の実態分析を担当し、企業間の契約につき、担当者からの詳細な聴き取り調査、及び契約交渉の契約条項を詰める段階の観察を行った。現在、その成果を取りまとめ中である。第2グループは、裁判事件を判例集から拾い、契約紛争の類型化を試みるとともに、担当した弁護士から事前に当事者に承諾をとってもらった上でさらに判例集では分からない事実例を調べるために聴き取り調査を行った。こうした綿密な、事件の再構成を通じて、法が契約紛争を規律する仕方が、これまで漠然と考えられていたよりもはるかに複雑で文脈依存的であることが明らかになってきている。第3グループは、比較法的な視点から、アメリカ、ドイツ、中国の三つの法圈で契約意思の解釈方法にどのような差異が見られるかを検討した。今年度はまだ、判例、学説、あるいは実務慣行として書かれているものを読んで、その異同がどのような軸で整理できるか整理している段階であるが、これからもう少し聴き取り調査も含めて、裏付けをしていく予定にしている。これは契約法理論との関連では、これまでの意思説、表示説の対立に、「合意」というもののその法文化ごとの捉え方の違いがどのような屈折を与えるかを明らかにする研究となっている。来年度はこれら全てをまとめて、調査報告書を仕上げたいと思っている。
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