研究課題/領域番号 |
05301072
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経済理論
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研究機関 | 青山学院大学 (1994-1995) 東京大学 (1993) |
研究代表者 |
根岸 隆 青山学院大学, 国際政治経済学部, 教授 (30012115)
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研究分担者 |
森口 親司 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (60027571)
西村 和雄 京都大学, 経済研究所, 教授 (60145654)
黒田 昌裕 慶應義塾大学, 商学部, 教授 (50051636)
天野 明弘 関西学院大学, 総合政策学部, 教授 (30029912)
藤原 正寛 東京大学, 経済学部, 教授 (40114988)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1995
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キーワード | 地球環境問題 / 国際経済制度 / 共同実施プログラム / 交渉ゲーム / フリーライディング / 環境保全型社会経済システム / 環境保全目標 / 温暖化ガス限界削減費用の推定 |
研究概要 |
地球環境問題や国際経済摩擦に対する世界公共財の分析を行った。具体的な成果は多岐にわたるのでその一部の紹介にとどめたい。 1.(国際)社会全体の厚生と国家(個人)の権利との間に存在するトレードオフを明示的に分析するため、社会選択の枠組みを使って、国家(個人)の選択の自由と国家(個人)の保有する国際(社会)的権利を分析する論理的分析枠組みを構築した。また、この分析枠組みを使って望ましい制度設計と制度運用を検討した。 2.日本、アメリカ、中国などにおいて、環境問題と経済成長との間のトレードオフに関する実証研究を試みるとともに、その政策的含意について検討を行った。 (1)我が国のGNPの炭素排出量弾力性は国際平均に近い0.05程度であること、環境問題への対応は社会経済システムの変革をもたらすから、環境保全型社会経済システムの構築が必要なこと、途上国における貧困の増大・人口の爆発・環境の破壊という悪循環が、地球規模の政策課題になりつつあることが確認された。 (2)日中大気汚染物質産業連関表を構築し、日本と中国の環境政策の共同実施(抑制目標を達成するための金銭的・技術的援助)の可能性を検討した。環境保全目標が未設定なこと、経済発展と環境についての合意作成や限界削減費用の推定の困難性、先進国と途上国間の分配上の公平などの問題点を検討するとともに、共同実施が情報の蓄積と環境戦略の漸進的改善という視点から有効性であることが確認された。 (3)各国の環境改善投資インセンティブが、将来、環境対策が国際交渉で決定されるという予想によってどう変化するかを分析した。各国が(国際交渉が行われないと予想した場合に比べて)省エネ投資を戦略的に削減し、国際交渉で有利な立場に立ちたいというインセンティブが存在すること、地球環境改善の便益を低く評価する国や、省エネ投資のコストが高い国などで、この効果が大きいことを明らかにした。
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