研究課題/領域番号 |
05301075
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
溝口 敏行 一橋大学, 経済研究所, 教授 (60017655)
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研究分担者 |
佐伯 親良 九州大学, 経済学部, 助教授 (70136589)
寺崎 康博 東京理科大学, 経営学部, 教授 (90136622)
池本 幸生 京都大学, 東南アジア研究センター, 助教授 (20222911)
吉田 建夫 岡山大学, 経済学部, 教授 (00150889)
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
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キーワード | 所得分布 / アジア / 経済の相互依存 / マクロモデル / 貧困線 / 10分位データ / ジニー係数 |
研究概要 |
近年のアジア地域は、良好な経済発展を遂げている東アジア、ASEAN諸国と、計画経済による停滞から離脱を目指している社会主義国およびインド亜大陸諸国よりなっている。前者では平均的な生活水準の向上は顕著であるが、所得分配の不平等化が問題となっている。後者ではそれまで比較的平等であった所得分布が、経済改革の進行とともに不平等が生じている。かくて各国の所得分配の状況と貧困率の把握は重要な課題である。従来の研究では国別の研究を国際会議で集約する方式をとってきたが、各論文が利用している統計の性格や分析手法の相違のために厳密な国際比較は困難であった。本研究構成員の一部は、戦後半世紀にわたるアジア地域の所得分布関連データを収集し、「AIDAデータベース」として公開してきた。この総合研究では、この過程で蓄積されたデータに関する知識を駆使して、統一的な手法による所得分布と貧困率の国際比較を第1の目的としている。近年のアジア諸国の経済を分析する場合、国間の相互依存関係の深まりが指摘される。この側面はアジア経済研究所などの国際計量モデル等によってある程度明らかになっている。第2の研究目的は、これらのモデルを改良したものに分配関係を示す関係式を導入して上述の所得分布の計測結果と結合し、国別分布の変動の相互関連を明らかにすることである。このような問題意識にたって、平成5年度には各国別の過去の所得分布分析の展望を研究会で分担して報告し、相互理解を高めた。一方計測担当者は、共通に使用するデータベースを作成し、同一基準による不平等度の国間、時点間比較が可能となった。その比較から従来の定説を変更するほどの帰結は得られていないが、組織的な分析によって問題点の整理は完了した。この成果は、最終年度のマクロモデルとの結合の準備作業ともなっている。平成5年度の作業は、第2年目以降の研究のための基礎作業に重点をおいたため、目にみえるかたちでの成果は第1年度にはえられていない。しかし、同一のデータベースを使用した組織的研究は、このテーマでは最初のものであり、基礎作業に基づく第2年度以降の研究は、既存の研究の水準を越えることが期待される。
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