研究概要 |
昨年度の研究結果から、私達の論証導入期の改善策として、論証することの必然性と図の役割の理解を生徒が得ることができるよう、A.空間図形の利用、B.作図問題の採用、を考えた。 今年度の研究実施計画にしたがって、1.第2学年において、策定した改善策によるいくつかの幾何教材についての指導案を検討し,試案を作る、2.試案による指導案で授業をし,授業観察とビデオの記録をもとに,試案の妥当性を検討しかつ改善する、3.論証,とくに論証導入期の指導案を作成し,授業を実践する、4.その結果をもとに改善策の提案を確定する、5.報告書を作成する、を行った。 昨年の研究結果より「図形の学習における論証の意味を理解できるためには、図形の学習での図がもつ新しい役割を理解する必要があり、図形の学習での図がもつ新しい役割を理解できるためには、図形の学習における論証の意味を理解する必要がある」ことから、より自然な導入として図がもつ新しい役割を、まず理解させる方針を取った。 1、2によって作られた論証導入期の指導案を、研究協力者をえて、中学校第2学年の図形領域全体の授業を実践した。実践結果の一例としてから、「長方形は台形である」を正しい理由を示して正しく判断した生徒は、プレテストでは2%、ポストテストでは49%であり、先におこなった北海道、東京、愛知、大阪での実態調査での正答率は17%であった。このようなことについては、たんに数値の比較で判断すべきではないが、私達の改善案による指導法は有効であったと考えている。
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