研究概要 |
1.二重データ崩壊とニュートリノの研究が大阪大学(理)のグループによって進められた.一昨年より行っていた^<116>Cdの測定においてニュートリノ放出モードの観測に世界で初めて成功し,暫定的な半減期T^<2v>_<1/2>=2.2^<+0.7>_<-0.4>×10^<19>年を得た.ニュートリノを放出しないモードについては暫定的な半減期の下限としてT^<0v>_<1/2>>1.7×10^<21>年,ニュートリノ質量の上限値〈m_v〉<2.9eV,弱相互作用の右巻成分の混合比の上限〈λ〉<2.9×10^<-5>を得た. 2.^<100>Moのマヨロン放出モードでは半減期の下限値T^<0vB>_<1/2>>7.9×10^<20>年,マヨロンとニュートリノの結合定数の上限値〈g_B〉<2.0×10^<-4>と世界最高水準の値を得た.またダブルマヨロン放出モードについて世界で初めて半減期の下限T^<0vBB>_<1/2>>5.3×10^<19>年を報告した.これよりZinoのマヨラナ質量の上限値M_Z<0.038GeVが得られた. 3.ELEGANTS V検出器に軌跡決定用の新たなドリフトチェンバが導入され,また空気中の^<222>Rnからのバックグランドも低減されニュートリノを放出しないモードでのT^<0v>_<1/2>>10^<23>年領域での測定が期待されている. 4.高分解能の低温検出器内の原子反跳による熱分析法検出器の開発が東京大学(理)のグループによって進められている.小型の検出器によってアルファ線の検出に成功し,平成6年以降大型検出器の開発,地下実験室への移設しての暗黒物質探索が計画されている. 5.蛍光検出器内の原子反跳を利用した暗黒物質探索の試みが大阪大学(理)のグループによってなされ,ELEGANTS VのNaI検出器を用いて低雑音測定が可能なことが明らかにされた.この結果をふまえた大型CaF_2検出器の開発が進められている. 6.これらの研究成果をふまえ神岡地区において93年11月に総合シンポジウムが行われ,非加速器原子核素粒子実験の分野を中心に宇宙線,低バックグランド測定,原子核理論,天体核物理など多くの分野から多数の出席を得,学術的交流が持たれた.
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