研究分担者 |
辻本 哲郎 金沢大学, 工学部, 助教授 (20115885)
北村 忠紀 京都大学, 工学部, 助手 (00243064)
後藤 仁志 京都大学, 工学部, 助手 (40243068)
村上 正吾 京都大学, 工学部, 助手 (70166247)
禰津 家久 京都大学, 工学部, 助教授 (30109029)
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研究概要 |
1.植生流入部における流れの遷移過程について次の知見が得られた. (1)植生境界流れの平衡部における流れの定式化より,植生帯の存在する流れ場を平衡領域の代表スケールを用いて無次元化された諸量として表現することが可能であることを示した. (2)いわゆる低周波の横断混合は流入端から水深の10倍程度から発達し始め,初期の段階からそのピーク周波数は大きな変化がないことが分かった.また,その平衡に至る距離は平均成分のそれよりかなり長いことを確認した. (3)変動成分に対してフーリエ成分法を用いて非定常成分の分離を行い,適切に周期成分と高周波の乱れ成分を抽出できた.こうした分離により掃流砂に及ぼす低周波変動の特性が明らかにされた. 2.植生流入部での流砂実験より次の知見が得られた. (1)浮遊砂濃度の変動成分は横断方向流速の変動の影響を受けることが確認された.こうした変動は単に質量拡散係数の見かけの値を大きくするというだけでは,不十分であることを明確にした. (2)掃流砂,河床高の変動は明らかに低周波変動の影響を受け,単に横断方向の変動のみならず,縦断方向にも変動特性が認められことを示した.さらに,従来報告されている横断方向の分布は,横断方向分布の縦断方向の1波長平均として,考えるべきことを指摘した. 3.穂波を伴う流れに関する実験より次の知見が得られた. (1)植生の組織的揺動は流れの勢いが大きくなると生じ,揺動が大きくなるほど,つまり穂波が生じている方が流水抵抗が大きくなることがわかった. (2)植生の揺動が大きくなるほど流速変動が1Hz程度の低周波数(これは植生の揺動の周期とほぼ一致する)で卓越し,低周波数での大きな揺れが見られる穂波現象が出現したときには流れ構造が植生の揺動にも影響を受けることがわかった. (3)植生の揺動と流れの相互作用という観点から,穂波現象の発生機構を数値計算的に検討した.その結果,流速の増大によって穂波現象が発生しやすいという従来の観測結果を定性的に説明できた.
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