研究分担者 |
藤原 章正 広島大学, 工学部, 助教授 (50181409)
田村 享 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (80163690)
西井 和夫 山梨大学, 工学部, 助教授 (80115906)
杉恵 頼寧 広島大学, 工学部, 教授 (70034410)
北村 隆一 京都大学, 工学部, 教授 (60252467)
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研究概要 |
本研究は近年その有用性を背景に欧米諸国において研究開発が進められている,パネル調査を用いた交通行動研究に関して,わが国における交通計画上の諸テーマへの活用を通じた適用性の実証的検討を行うことを目的とする。 本研究の基本的姿勢としては,一般的な交通計画のステップである,調査-分析-予測・評価からなる段階的な流れを,パネルデータ(同一個人に関する複数時点にわたる繰り返し調査データ)に対してどのような形で体系づけていくべきかを明らかにしていく。 今年度は以下の項目を実施した。(1)具体的なパネル調査手法の確立に向けて,データベースを作成した。これは,後の分析手法の実証的検討のために,パネルデータの共有化をはかるとともに,欧米諸国の研究プロジェクトと将来的に連携をとる上で重要な意義を持つ。(2)パネル調査データを用いた動的分析のための方法論の確立を目指して,次年度にかけて,実証的検討を行った。具体的な検討項目としては,パネルアトリッション分析,サンプルの系統誤差分析,動的挙動に内在する学習効果,遅れ,調整過程のモデル化を行った。(3)予測・評価の段階を念頭においた分析・検討を行った。具体的には,短期的な動的行動の分析モデルでは,情報提供の効果計測とその評価という視点から,パネル分析の有効性を明らかにした。また第2のケースである事前事後的な交通行動の変化に関する評価問題に関しては,新行通システムの導入に伴う利用者の選好特性をパネルデータ形式で分析する事例,あるいは交通手段や駐車場といった交通施設整備による利用者の意思決定構造の把握を,具体的なケーススタディを通じて実証的に分析を行った。そして第3のケースとしての,アクティビティ・アプローチをベースとしたパネル調査データをもとに,1日の活動交通パターン,時間配分,買物場所の選択といった多様な意思決定問題を動的な分析フレームの中で詳細に吟味した。
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