研究概要 |
消費者が農産物に対して多様な要求をするようになり,高品質化,低コスト化が望まれている。本研究はそのようなニーズに対応して,農産物の物性について研究し,重ねて品質を評価する方法および流通過程における品質保持の方法を研究し,選別,流通過程における機械化,システム化の基礎資料を提供し,同時に実用化するための研究である。 本年度は各分担者が与えられた課題に対して取り組み始めたところであるが,一部の研究は継続中のものがあり,特に,米および果実の糖度の推定,果実の傷,腐りの検出,については若干の成果が得られている。 まず,米については精米流通を考えた研究で,品質について白度計,濁度計で白度,濁度を測定し,精白率との関係を求めている。すなわち,精白率の上昇に伴い白度は上昇し,無洗米化することによりさらに白度が高まることを明らかにしている。 果実の糖度を非破壊で推定する研究も継続中のもので,ブドウ,温州ミカンについて近赤外域の波長における分光反射率を使って糖度の推定式を重回帰分析から求め,そのとき検定用に用意したブドウ,温州ミカンの糖度の推定を行ったところ,高い精度で推定できることを明らかにしている。 モモについては傷,腐りの検出システムを試作して,実用化のための研究を行っている。すなわち,CCDカメラ,センサ,回転式光学フィルタ等の組合せで近赤外域の波長におけるモモの画像データから傷,腐りが検出できることを明らかにし,1秒間に3個の割合で検査できる装置を開発した。これをナシ,リンゴにも応用している。
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