研究課題/領域番号 |
05302076
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
井上 信幸 東京大学, 工学部, 教授 (60023719)
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研究分担者 |
岡野 邦彦 東芝, 研究開発センター, 研究主務
畑山 明聖 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (10245607)
田中 知 東京大学, 工学部, 教授 (10114547)
吉田 善章 東京大学, 工学部, 助教授 (80182765)
小川 雄一 東京大学, 工学部, 助教授 (90144170)
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キーワード | トカマフ / プラズマ / 核融合 / パルス運転 / IDLT炉 / 休止期間 / 中心ソレノイドコイル / 誘導電流駆動 |
研究概要 |
近年のトカマクプラズマ実験の進展に伴い、国際熱核融合実験炉ITERを初めとして次期装置や核融合炉の設計が、信頼度の高い科学的データベースに基づいて設計されるようになった。ここでは工学的開発要素を極力軽減化した開発戦略に基づき、より早期実現を目指した核融合炉設計を行なっている。 非誘導電流駆動による定常運転トカマク型核融合炉は大変魅力的である。しかしここ10年間の非誘導電流駆動実験結果及び物理的検討の結果、その電流駆動効率がかなり低い事がわかってきた。この点を克服すべく、強磁場コイルや高エネルギービーム等を採用した定常核融合炉設計も提案されてはいるが、ここでは工学的開発要素の軽減化という観点に立脚し、誘導電流駆動のみによるパルス運転トカマク型核融合炉を再検討している。 パルス運転の欠点として、繰り返し運転による材料疲労の問題と休止期間中の電力補償の問題が挙げられる。両者を同時に解決すべく、ここでは一回のパルス運転の時間が約10時間程度とし、従来の設計と比較して超長パルス運転炉を採用し、これをIDLT(Inductively operated Day-Long Tokamak)炉と命名した。これは同時に、電力需要のピークが昼間の数時間であるという現代の電力需要ともよく整合していると言える。 中心ソレノイドコイルの磁束を十分確保するために、プラズマ主半径が10mとやや大きくなる。ただしプラズマ特性としては、閉じ込め改善度H=1.7、トロヨン係数g=2.7程度の比較的保守的な値である。プラズマ電流分布はベータ値限界、鋸歯状振動及びプラズマ崩壊等の観点から重要である。誘導電流駆動炉では、電子温度分布から決まる誘導電流分布とブートストラップ電流により自動的に電流分布が決まる。ここでIDLT炉の電流分布に対して、そのMHD的な安定性を検討した。 パルス炉では、その運転シナリオが重要であり、休止期間が10分程度で充分であるかを物理的及び工学的観点から検討した。その結果的100秒の電流立ち上げ及び立ち下げ設計が可能であり、その時の電源容量は約1GW程度である事がわかった。また電流変動運転に伴う中心ソレノイドコイルの発熱等を評価し、既存の技術の比較的容易な延長として設計可能である事がわかった。
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