研究分担者 |
岡野 邦彦 東芝研究開発センター(研究職), 研究主務
畑山 明聖 慶応義塾大学, 理工学部, 助教授 (10245607)
田中 知 東京大学, 工学部, 教授 (10114547)
吉田 善章 東京大学, 工学部, 助教授 (80182765)
小川 雄一 東京大学, 工学部, 助教授 (90144170)
|
研究概要 |
核融合研究は科学的実証を目指した次期装置建設が目前に迫ってきているが,一方ではより高性能の核融合炉を開発すべく多くの開発研究が現在も精力的に推進されている.ところで近年,地球環境等の観点から鑑み,より高品質のエネルギー源として核融合炉の早期実現が叫ばれている.ここでは,現在までのより信頼度の高い科学知識を基に,早期実現を目指した核融合炉の開発戦略を構築すると同時に,そのための具体的な核融合炉の設計を行った, 一般的に従来の核融合炉設計においては,その経済性に重点を置き,より廉価な核融合炉を設定し,そのための今後さらなる開発要素の抽出を行ってきた.従ってすべての要素が開発された暁には,非常に魅力的な核融合炉が実現されると言える.しかし一方では,これら開発要素は今後の長期にわたるR&Dが必要であり,核融合炉開発を長期化させている要因でもある.ここではコスト評価を中心とした経済性に対してその比重を軽減し,現在までに確立されたより信頼性の高い科学知識をベースとして核融合炉を比較的保守的に設計・建設する事が核融合炉の早期実現に向けて急務であると考えた. 核融合炉の実現を大きく左右している因子として,プラズマ閉じ込めの改善,ダイバータプラズマの制御等のプラズマ物理的要素と,高中性子壁負荷材料や高磁場コイルの開発等の炉工学的要素が挙げられる.これらの要素に対して現在までに得られた知見及び達成された技術を基礎としてデモ炉を設計すると,装置主半径10m,核融合出力800MW,運転時間4時間と比較的大型装置とならざるをえない.しかしこのデモ炉では,オーステナイト系の材料が使え,十分高い稼働率も確保でき,発電用デモ炉としての要件をすべて具備しており,20〜30年後の早期実現が可能である.しかも将来プラズマ物理の進展や新材料の開発が進めば,このデモ炉で核融合出力3GW以上の実証実験も可能である.
|