研究分担者 |
佐野 弘好 九州大学, 理学部, 助手 (80136423)
角和 善隆 東京大学, 教養学部, 助手 (70124667)
山北 聡 宮崎大学, 教育学部, 助教授 (80210342)
石賀 裕明 島根大学, 理学部, 助教授 (80183002)
武蔵野 実 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10027716)
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研究概要 |
1993年12月には熊本県球磨川地域において,研究分担者15名,研究協力者4名,学生院生10名の参加のもと,現地討論会および,研究討論会を行った.ここではP/T境界層について熱心な討論が行われ,境界層が還元的な海洋環境のもとで形成されたとされていた従来の考えに対する問題が指摘された.また,環境の変化については,P/T境界へ向けての海洋の汚染の変化様式と,ここからトリアス紀に向けての環境回復の状況が異なることが指摘され,境界研究もより精度の高い研究レベルに向かってきたといえる. また海洋環境の変化については,新たに層状チャートの堆積学的な検討が海水準変化を克明に説くカギとなっていること,そしてこれが環境変化に大きな影響を与えていることが指摘された.これまで浅海層で考えられていた海水準変化と生物の大量絶滅との関係については最近も海面の低下による停滞した環境が重要とする考えと,トリアス紀の海進のほうが基礎生産を高めこれが無酸素水塊を生み出したとする説がある.遠洋性堆積物は基礎生産量を敏感に反映した地質記録を残しており,これからのテーマである. この間の同位体地球化学的検討は目覚ましく,海洋環境の変化をもととする境界の策定には極めて有効な指針を与えている.この研究会の分担者にはこのような分野の研究が多く参加しており,今後の成果が期待される.なお,ここに述べた研究成果の一部は地質調査所月報(第44巻,7,9,12号)にまとめられている.
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