研究分担者 |
青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029)
渋谷 達明 筑波大学, 生物科学系, 教授 (00015512)
神崎 亮平 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40221907)
前田 泰生 島根大学, 農学部, 教授 (20144694)
西田 律夫 京都大学, 農学部, 助教授 (30135545)
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研究概要 |
昆虫がどのようにして幼虫の食餌を選択するのか、この生得的行動をメカニズムの上から研究しようというのが当研究班の目的である。班を2つにわけ、アゲハの産卵行動の仕組をしらべる先端的研究とカリウドバチの狩りをしらべる萌芽的研究からなる。 先端的研究では、まず、アゲハ(♀)の前肢フ節の嗅い感覚毛の微細構造を電子顕微鏡下で解明した。感覚毛は5個の神経細胞からなり、うち4個が化学物質を受容するものと考えられ、細長い樹状突起1本を感覚毛の先端近くまで伸長させている。他の1本は機械刺戟に応答するものとみなされ、突起は感覚毛の中ほどまで伸びている。突起は多くの微小管を含んでおり、下部で繊毛構造(9+0)をとり、細胞体にいたっている。 次に各感覚毛先端にミカン葉抽出物を含むチップをかぶせ、電気的パルスを測定したところ(チップ・レコーディング法),典型的な応答を示した。そこで,10種類知られているアゲハの産卵行動誘起物質(ミカンの葉より單離同定)をテストした。現在,シネフリン,キロ-イノシトールの濃度・応答曲線が得られている。他の8種類についてもつづける予定である。 萌芽的研究では,カリウドバチの一種オオフタオビドロバチを用いて人工営巣にはじめて成功した。すなわち,12×6mの小形ハウス内でメイガの幼虫を食草につけ、竹筒に巣をつくらせることができた。今後幼虫の食餌となるガの幼虫の種類を変えてしらべていく。
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