昆虫の生得的行動,幼虫食餌選択の機構に関する研究

1994 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 05304007
• 研究機関: 千葉大学
• 研究代表者: 丸山 工作 千葉大学, 理学部, 教授 (60012267)
• 研究分担者: 松香 光夫 玉川大学, 農学部, 教授 (30074339) ; 青木 清 上智大学, 理工学部, 教授 (70101029) ; 神崎 亮平 筑波大学, 生物科学系, 講師 (40221907) ; 前田 泰生 島根大学, 農学部, 教授 (20144694) ; 西田 律夫 京都大学, 農学部, 助教授 (30135545)
• キーワード: 昆虫の本能 / アゲハチョウ / 産卵誘起物質 / 感覚毛

研究概要

先端的研究では、アゲハの産卵誘起物質の作用機作について多角的な協力研究が展開された。アゲハチョウ♀前肢フ節に感覚毛が100本ほど生えているが、チョウは食草をたたいて嗅いを感覚する。じじつ、アゲハの産卵誘起物質(ミカンの葉から單離)をミクロキャップに入れて感覚毛にかぶせると活動電位が発生した。感覚毛の微細構造は4個の神経細胞からなり、それぞれ1本づつの突起を先端開口部まで伸ばしている。現在感覚毛300羽分からRNAを取りだしてそのCDNAライブラリーをつくり、ヌクレオチド配列を決定中である。2個はラット鼻腔上皮の嗅感レセプターとホモロジーをもっていた。
オナガアゲハの産卵誘起物質が食草のコクサギから單離され、C_<17>H_<20>O_9の6-(β-glucopyranosyloxy)-benzo furan propionic acidと同定された。
萌芽的研究では、2種類のハナバチをケージ内管巣させ、花資源の利用が幼虫時代の食餌と関連するかどうかをテストした。ヒメウツギの花に集まるウツギヒメハナバチは一種類のみに固執し、他方、アルファルファハキリバチは何でもよい雑食性であった。狩りバチではじめてケージ内営巣が可能となった。オオフタオビドロバチを用いて、幼虫のときの餌と親バチとなってから狩りをする獲物との相関を追求中である。

研究成果

• [文献書誌] Nishida,R.: "Oviposition stimulant of a zerynthiine swallowtail butterfly Euehdorfia japonica" Phytochemistry. 36. 873-877 (1994)
• [文献書誌] Nishida,R.,Rothschild,M,Mummery,R.: "A Cyanoglucoside,sarmentosin,from the Magpie moth,Abraxas grossulariata,Geometridae:Lepidoptera." Phytochemistry. 36. 37-38 (1994)
• [文献書誌] Kanzaki,R.: "Olfactory processing pathways of the insect brain" Olfaction and Taste. 11. 831-834 (1994)
• [文献書誌] Kanzaki,R. Ikeda,A.: "Morphology and physiology of pheromone-triggered flip-flop descending interneurons of the male silkworm moth." Olfaction and Taste. 11. 851- (1994)
• [文献書誌] Ikeda,M.,Takeuchi,H.A, Aoki,K.,: "The role of sex steroid in two avian song behaviours differing in onto genetic process." Experientia. 50. 972-974 (1994)
• [文献書誌] Fukuhara,C.,Hamada,T.,Shibata,S.,Watanabe,S.,Aoki,K.,Inoue,T.: "Phase advances of circadian rhythms in somatostatin depleted rats." Journal of Comparative Physiology A. 175. 677-685 (1994)