研究分担者 |
柿薗 俊英 広島大学, 工学部, 助手 (00214255)
岸本 通雅 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (00144436)
宮本 和久 大阪大学, 薬学部, 教授 (30028849)
小川 隆平 熊本工業大学, 工学部, 教授 (40029244)
西尾 尚道 広島大学, 工学部, 教授 (30034383)
|
研究概要 |
光合成微生物は,太陽エネルギー利用能,炭酸ガス固定能や水質浄化機能を始め,地球環境時代に最も適した多くの機能を備えている。本研究は,藍藻,緑藻,光合成細菌などの機能開発および,機能発現の場であるバイオリアクターの開発を行ない,光合成微生物の機能活用の道を開き,太陽エネルギーの新しい利用領域を開拓しようとするものである。本年度(最終年度)は各研究者が以下の研究成果を得た。 1.微細藻類による炭酸ガス固定化に加えて、脱硝処理前後のボイラー排ガス中に含まれる窒素酸化物(各々NO 100,20ppm)処理に向けて、管型のフォトバイオリアクターを用いて,NOを通気しながら培養を行うと、いずれも50〜60%のNOを処理することができた(宮本)。2.細菌由来のエチレン生成酵素をラン藻内で最大限に発現させるため、ラン藻の光化学系IID1タンパク質遺伝子(psbA)の欠失psbAプロモーターを作成した結果、ラン藻で細菌並のエチレン生成に成功した。好熱性ラン藻(Synechococcus vulcanus)のpsbA遺伝子とpsbD(D2タンパク質の遺伝子)を大腸菌にクローニングすることに成功した(小川)。3.光導入路を改善するため楔形の溝を付けた箱形培養槽(深さ50cm)を試作し、好塩性緑藻Dunaliella tertiolectaを培養してところ、溝のない培養槽に比べ2.7倍の藻体濃度が得られた。さらに高温高圧下で藻体の油化を試みたところ、硫黄触媒化250・C,10分の反応で油化収率41.3%を得た。4.複数の除草剤耐性変異株からプロトプラストを調製し,2種類の親株をポリエチレングリコール依存下で化学的に細胞融合させた結果、細胞核の倍数性が2倍に向上したハイブリッドを単離し、有用カロテノイドの生産を親株と比較検討した(柿薗)。5.閉鎖系フォトバイオリアクター内で高濃度に蓄積する酸素の阻害効果を、有用ラン藻Spirulinaの増殖について速度論的に検討し、高濃度溶存酸素の毒性を明らかにした(西尾)。
|