研究課題/領域番号 |
05304015
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
植物栄養学・土壌学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
但野 利秋 北海道大学, 農学部, 教授 (40001440)
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研究分担者 |
原 徹夫 岐阜大学, 農学部, 教授 (50021720)
小西 茂毅 静岡大学, 農学部, 教授 (70026417)
我妻 忠雄 山形大学, 農学部, 教授 (70007079)
小島 邦彦 東北大学, 農学部, 教授 (70005669)
松本 英明 岡山大学, 資源生物科学研究所, 教授 (80026418)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | アルミニウム耐性 / アルミニウム障害 / イオンチャンネル / アルミニウム耐性植物の作出 / アルミニウムによる生育促進 / アルミニウム誘導性タンパク / アルミニウム耐性微生物 / アルミニウム毒性の鉄イオンによる促進 |
研究概要 |
(1)パッチクランプ法を用いてオオムギの原形質膜に内向性のKイオンチャンネルがあることを明らかにし、このイオンチャンネルを経由するK吸収はAlによって不可逆的に阻害されることを示した。(2)Al耐性の種間、品種間比較や障害の多価金属イオン間比較を行った結果、Alイオンによる障害を最初に受ける部位は根端細胞の原形質膜であると考えられ、原形質膜の負荷電量の違いに基ずいてAl耐性細胞を単離採取する新しい技法を開発した。(3)タバコ培養細胞に対するAl毒性はFeの共存によって促進され、その原因は脂質過酸化の促進によることが示された。さらに、同培養細胞にP欠乏前処理を加えることによってAl耐性が強化されることを示し、これはAl毒性の機構に関わる細胞分裂阻害や酸素ラジカルが関与する膜の脂質過酸化等の防御に関連する遺伝子の発現増加に起因すると推定された。(4)Al耐性選抜培養細胞の再分化に由来する初代ニンジン種子のAl耐性形質は、2代目種子にも受け継がれることが水耕栽培試験と土耕試験で明らかにされ、植物組織培養におけるストレス選抜法が、Al耐性植物の作出を通して酸性土壌耐性品種の育成の実用化につながる可能性が強く示唆された。(5)固体レベルと培養細胞レベルのAl耐性は類似していることが示された。(6)酸性土壌に適応した多くの植物はAlによって生育が促進され、Pをはじめとする各種養分元素の吸収も促進されることが示された。また、上記植物の中にはCaによる生育促進が認められないものが存在することが確認された。(7)Al処理下で生育したチャの根にはAl-タンパク質コンプレックスの存在の可能性が示され、このタンパク質はAl誘導性のタンパク質であると推定された。(8)土壌微生物の中から酸・高Al・高Mn耐性微生物を世界で初めて単離し、それがFlavobacterium ST-3991であることを明らかにした。これらの機能をもつ微生物を利用することにより、酸性土壌のpHの上昇と土壌溶液のAlイオン濃度の低下を通して地球生態系を保全しつつ持続的な植物生産を実現できる可能性を示した。
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