研究課題/領域番号 |
05304017
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
岩坪 五郎 京都大学, 農学部, 教授 (00026395)
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研究分担者 |
安藤 信 京都大学, 農学部, 講師 (00133132)
川那辺 三郎 京都大学, 農学部, 教授 (10026396)
長山 泰秀 島根大学, 農学部, 助手 (60228062)
片桐 成夫 島根大学, 農学部, 教授 (00032649)
千葉 喬三 岡山大学, 農学部, 教授 (10036741)
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キーワード | 集水域 / 環境浄化機能 / 渓流水 / 降水 / 土壌水 / 生物窒素固定 / 物質循環 / 広域比較 |
研究概要 |
地域の環境に応じて降水・エアロゾルなどの降下物の量と質が、種類や形態の異なる森林にどのような影響を与えるか、また森林からどのような質と量が流出するかを明らかにする目的で、近畿、中国、山陰地域において広域的に研究を行った。 (1)滋賀県大津市の2集水域、岐阜県高山市の2集水域、北海道標茶町の3集水域、香川県高松市の4集水域で、降水と渓流水の水質を調べた。渓流水のNO_3^-濃度は集水域間で差が大きく、NH_4^-濃度はいずれの地域でも非常に低かった。降水中の無機態窒素濃度は高山市で高く、森林生態系への窒素供給量は多いが、渓流への流出濃度は低かった。大津市と高松市では降水よりも渓流水の濃度が高かった。したがって、降水中の濃度が高いほど流出水の濃度が高くなるとは言えなかった。 (2)冬期の北西季節風を強く受ける島根県三瓶の落葉広葉樹林では降水および流出水の養分濃度と水量を測定し、集水域における物質の収支を求めた。その結果、降水の濃度は季節風の影響を受ける冬期に高くなるが、渓流水の濃度は年間を通してかなり安定していた。集水域の物質収支は窒素についてはプラスとなり、ミネラルについてはマイナスとなった。 (3)岡山市の広葉樹二次林では降水およびリターフォールにより林床へ供給される物質濃度を測定するとともに林床有機物の状態が土壌中での物質の移動ならびに窒素の固定量に及ぼす影響を測定した。その結果、林床有機物の除去によって土壌中での物質の移動の仕方が異なり、土壌中での窒素の固定量が減少することが明らかになった。また、土壌の母材の違いが土壌中での物質の動態に影響を及ぼすことも明らかにした。 これらの成果をふまえて、次年度は森林における物質の動態を生物地球化学的観点から追求し、環境保全に望ましい森林の施業に対しても環境科学的な面から指針を提示する。
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