研究課題/領域番号 |
05304018
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
斎藤 明 九州大学, 農学部, 教授 (30253511)
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研究分担者 |
山崎 常行 九州大学, 理学部, 教授 (10108649)
井出 雄二 東京大学, 農学部, 助教授 (90213024)
伊藤 哲 宮崎大学, 農学部, 助手 (00231150)
玉泉 幸一郎 九州大学, 農学部, 助手 (80205062)
白石 進 九州大学, 農学部, 助教授 (70226314)
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キーワード | 希少森林植物 / ジーンダイバシテイ / ヤツガタケトウヒ / ヒメバラモミ / トガサワラ / RAPDマーカー / 現地外保全 / 組織培養 |
研究概要 |
森林希少植物の生存環境調査は、長野県八ヶ岳山麓のヤツガタケトウヒ、ヒメバラモミ集団と三重・奈良県境の大台ヶ原のトガサワラ集団に対して行い、これらの樹種の生存規模、生存場所の微環境等を明らかにした。 また、種が様々の原因で個体数を減少し、希少植物化する過程で起こる集団のジーン・ダイバシティの変化をニホンカラマツをモデル植物として用いて研究した。ニホンカラマツは主分布地域であるは本州中央部の山岳地帯(亜高山帯)に大きな集団を点在させている。しかし、北限の宮城県蔵王山系馬ノ神岳の集団は、全個体数が20個体以下ときわめて小集団化してきている。両集団のジーン・ダイバシティをDNA分子マーカーの一つであるRAPD(Random amplified polymorphic DNA)マーカーを用いて評価した。その結果、小集団である神岳の集団の変異性は、主分布地域のものと比べて非常に低く、かつ、特定の対立遺伝子が固定した単型的遺伝子座数は主分布地域と比較して約2倍に達していた。しかし、調査した約10%の遺伝子においては、主分布地域のものと異なっており、小集団化したために、ジーン・ダイバシティは著しく減少しているが、希な遺伝子が固定されていることから、遺伝資源としては非常に重要であることが明らかにされた。 さらに、個体の現地外保全方法として、組織培養技術を用いた増殖法について検討を行った。今年度は、カバノキ科とマツ科の希少森林植物である、アポイカンバ、ヤチカンバ、ヤクタネゴヨウの3樹種について試験管内増殖を行った結果、アポイカンバとヤチカンバについては腋芽組織からの個体再生が、また、ヤクタネゴヨウでは種子中の胚組織からの大量増殖(マイクロプロパゲーション)が可能となった。
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