研究分担者 |
野崎 正美 大阪大学, 微生物病研究所, 助手 (30189394)
豊田 裕 東京大学, 医科学研究所, 教授 (90050418)
岩倉 洋一郎 東京大学, 医科学研究所, 教授 (10089120)
星 元紀 東京工業大学, 生命理工学部, 教授 (20012411)
森 崇英 京都大学, 医学部, 教授 (90026865)
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研究概要 |
本研究では,数多くの形質転換動物の作出に成功してきた研究者と,生殖生物学の専門家の協力体制を確立し,形質転換動物を対象に,「生殖過程」という統一的な切り口で解析を行うとともに,その制御についての有効な手段を開発せんとするものである。すなわち,組み換えの対象遺伝子の生理機能の個体レベルでの理解を生殖過程という側面から深めようというのが本研究の目的である。以下に、成果の概要を示す。形質転換動物の生殖能異常の内分泌学的解析に関しては、ヒト成長ホルモン(hGH)遺伝子導入ラットにおいては、hGHのプロラクチン作用が発現した結果、偽妊娠状態になっているものの排卵時に受精させれば正常な妊娠・出産が成立することが明らかとなった(高橋)。着床成立・胎盤形成に関しては、インビトロ着床モデルの開発に成功し、胚・子宮内膜間の接着に胚由来因子が示された(森)。受精能解析に関しては、ヒトデ卵を用いて、G蛋白質各サブユニット遺伝子導入を行った結果、受精後の情報伝達は、主にβγサブユニットであることが明かとなった(星)。ES細胞によるジーンターゲッテイングに関しては、β型およびγ型インターフェロン遺伝子の破壊された細胞株の樹立に成功した(岩倉)。キメラ作成技術の開発に関しては、ES細胞を8細胞期胚に注入する際に、最適発生率を示すES細胞数は10-15個であることが明らかとなった(角田)。始原生殖細胞の分化能の解析については、未分化状態の維持に腫瘍壊死因子-αが有効であることを新たに見い出した(中辻)。初期胚の細胞分化に関しては、内胚葉分化マーカーEndoA遺伝子のエンハンサーに結合する因子のcDNAと思われる遺伝子を4種類単離した(野崎)。このほか、SV40ウイルスの初期プロモーターと大腸菌βガラクトシダーゼ遺伝子との融合遺伝子を導入したマウスの作出に成功し、桑実胚において強いβガラクトシダーゼの発現が観察された(豊田)。成人T細胞白血病ウイルスtax遺伝子導入マウスの作出に成功し、慢性関節炎の発生がtaxにより誘導されることが明かとなった(岩倉)。ヒト主要組織特異抗原導入マウスを作成し、ヒト主要組織特異抗原に対して免疫寛容となったマウスの作出に成功した(岩倉)。
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