研究課題/領域番号 |
05304033
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研究種目 |
総合研究(A)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
多田 道彦 大阪大学, 医学部, 教授 (90093434)
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研究分担者 |
遠藤 政夫 山形大学, 医学部, 教授 (40004668)
月田 承一郎 京都大学, 医学部, 教授 (50155347)
外山 淳治 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (20023658)
堀 正二 大阪大学, 医学部, 講師 (20124779)
葛谷 恒彦 大阪大学, 医学部, 助教授 (80150340)
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研究期間 (年度) |
1993 – 1994
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キーワード | 接着分子 / カルシウムシグナリング / 心筋細胞障害 / 再灌流 / 心不全 / 低分子量G蛋白質 / 介在板 / ギャップ結合 |
研究概要 |
心筋興奮収縮関連はCaイオンを情報伝達因子として細胞膜電位変化をアクチン、ミオシン分子間反応による張力に変換することにより達成される。本研究では心筋機能発現の根幹を占めるCaシグナリング蛋白質群が細胞障害因子によりどのように修飾されるかを追求しそれを総合することによりCaシグナリング異常の細胞病理を再構築する事を目的とする。 Ca除去系で重要な役割を果たしているCaATPaseとその調節蛋白であるホスホランバンとの相互作用部位を両分子において部位特異的変異を導入することにより同定した。さらに両分子の遺伝子発現機構を検討し甲状腺ホルモンがその発現に大きな関与を果たしていることを明らかにした。さらにCa動員系である筋小胞体Ca遊離チャネルにおいてモジュレーター結合に大きく関与していると考えられる領域を同定した。心筋細胞間での情報伝達に関わるギャップ結合において電気生理的解析に基ずきカルモジュリンがその制御に深く関与していることを明らかにした。さらに心筋細胞を結合している介在板を構成しているアドヘレンスジャンクション構成蛋白質を同定、1次構造を決定した。また接着分子L-セレクチンがCa依存性とともに非依存性にもリガンドと結合することを示した。さらに低分子G蛋白質Rhoがアクトミオシン系を介して細胞形態、細胞運動を制御していることを明らかにした。 虚血による急性心不全、慢性鬱血性心不全における心筋細胞内Ca動態についてエクオリンを用いて検討を行ったところ、Caトランジェントの時間経過の遅延が弛緩障害。頻拍刺激に対する直接要因になっていることが判明した。また再潅流障害においてはCa過負荷が主要な要因になっていることが示された。スタン心筋においてCa依存性蛋白分解酵素の関与が明らかとなった。また心筋障害に深く関わるサイトカインの1種であるIL-6は収縮期細胞内Ca濃度を低下させて心筋収縮能を弱めることを示した。 以上、本研究によりCaシグナリングとその調節を司る分子群の相互連関とそ破綻の要因の理解に貢献したと考えられる。
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