研究課題/領域番号 |
05304050
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
家森 幸男 京都大学, 大学院・人間・環境学研究科, 教授 (80025600)
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研究分担者 |
堀江 良一 島根医科大学, 医学部, 助教授 (60127529)
須永 俊明 佐賀医科大学, 医学部, 教授 (40013916)
沼野 藤夫 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (40013958)
吉田 洋二 山梨医科大学, 医学部, 教授 (10008237)
矢谷 隆一 三重大学, 医学部, 教授 (80024636)
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キーワード | 脳卒中 / 脳血管性痴呆 / 免疫組織化学 / 穿通する動脈 / 動脈壊死 / 貧食細胞 / アクチン / モノクロープル抗体 |
研究概要 |
日本人の脳血管障害の本態を、従来の病理学的方法に加えて、次のごとき新しい免疫組織化学的方法を用いて研究した。各研究員にお願いして死亡後5時間以内の脳卒中、脳血管性痴呆の剖検症例につき、脳病巣周辺の穿通枝、皮質枝を含む脳組織片(約1×1×0.5cm)を数ケ所切り出し、カルノア液に固定後、島根医科大学病理学教室へ集め、パラフィン包埋で連続切片を作製し、ヒトの貧食細胞または血管の平滑筋のアクチンに対するモノクロナール抗体(Am J Pathol 125,191,1986)を用いて免疫組織化学的に検索すると共に、Masson,Azan-Mallory,Elastica-Vangieson染色を行ない、まず今年度は、動脈壊死性病変の多い穿通枝系を中心に観察した。その結果、脳卒中ならびに脳血管性痴呆の症例では、いずれも穿通枝動脈の中膜平滑筋のアクチンは内膜下のみが残存しており、すなわち脳卒中易発症SHR(SHRSP)と同じく変性、壊死、コラーゲン増生は常に中膜外側から生じていることを明らかにした。またヒトの場合、中膜外層の平滑筋の変性壊死に対し、貧食細胞はまずVirchow-Robin腔より侵入し、最終段階で内膜側より侵入し穿通枝動脈障害が完成することを症例を増やして確認し老人性痴呆症例では、脳卒中(梗塞)の症例と基本的な血管障害が生じているか、年齢が平均10〜15年遅れて生じていることがわかった。脳血管性痴呆のリスクワアクターとして臨床的にも高血圧があげられているが、上記の病理学的観察は、両者は本質的に同じ病変が時期的に早く生ずるか遅れて生ずるか、高血圧が共通因子であることを支持している。
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