研究課題/領域番号 |
05305005
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
井出 千束 神戸大学, 医学部, 教授 (70010080)
|
研究分担者 |
佐藤 勝彦 浜松ホトニクス, 中央研究所, 室長
林 基治 京都大学, 霊長類研, 助教授 (10027500)
古川 昭栄 岐阜薬科大学, 薬学部, 助教授 (90159129)
阿部 正隆 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70048271)
平澤 泰介 京都府立医科大学, 医学部, 教授 (40079851)
|
キーワード | 神経再生 / 基底膜 / 成長因子 / シュワン細胞 / NGF / 発芽 / 成長円錐 / エキシマレーザー |
研究概要 |
本年度はこの研究班の初年度であったが次のような成果をあげることができた。 (1)末梢神経のランヴィエ絞輪からの発芽の形態を明らかにし、それが成長円錐として伸びる経過において、シナプトフィジン、シナプトタグミン、シナプシンI、プロテインキナーゼCの局在を免疫組織化学的に明らかにした。 さらにN-カドヘリンが再生軸索同士および再生軸索とシュワン細胞との接着に働くことを明らかにした。現在インテグリンが成長円錐の表面に局在することを明らかにしつつある。 (2)末梢神経系と中枢神経系で神経成長因子(NGF)産生がどのように調節されているかを明らかにした。すなわち4-methylcatecholによる末梢神経におけるNGF産生の促進、interleukin-2,4,5による中枢神経系におけるNGFの産生促進と神経細胞生存維持効果などである。 (3)サルを用いた神経移植においてシュワン細胞基底膜の有理性を検討し、5〜8cmの移植片でも再生神経が通ることを明らかにした。 (4)同種移植では他にアルコール処理の神経がやはり移植片として有用であることを認めた。 (5)エキシマレーザーによって中枢神経の破壊と修復を調べ、髄鞘破壊後の稀突起膠細胞の動態を明らかにした。エキシマレーザーによってグリア細胞が破壊され軸索が裸となって残ることが多いが、3〜5日後にこのような無髄軸索の間に稀突起膠細胞が現われて次第に軸索を囲み、中枢性の髄鞘を形成するようになる。また稀突起膠細胞の他にシュワン細胞も現われて末梢性の髄鞘を形成する。 (6)中枢神経系におけるNGFの産生細胞をin situ hybridization法で調べて海馬に特に多いことを見い出している。 (7)これらの成果は1994年3月1日の研究発表会で討論された。
|