研究概要 |
1,染色品の細胞組織内に残存する染色材料を同定する研究を進めた。その結果、スオウと考えられる有機染料液の同定に成功した。この染料は法隆寺裂以前では最古の発見である。 2,朱やベンガラなどの顔料で染めた絹織物の存在を初めて明らかにした。また、この顔料染めについて、電子顕微鏡による粒子の観察と分析、染色試験などを実施して染色技法の復元的研究をおこなった。 3,繊維製品と遺物との前後関係を詳細に検討し、発掘状況とあわせて埋葬状況の検討をを行った。その結果、発掘調査で明確にできなかった遺体と遺物に関する埋葬方法について新しい見解を得ることができた。 4,全国から出土している繊維製品について、遺構、遺物との関係を重視した出土地名表を製作した。繊維製品出土遺跡は西日本は280以上にのぼり地域的な特徴も明らかになってきた。この成果は今後の古代繊維製品研究の基礎資料として重要である。 5,研究成果をまとめた報告書を作成中である。原稿の執筆をほぼ終え、現在編集段階にある。
|