研究概要 |
全国の教育委員会,教育研究所,教育センター,および,国立,公立の社会教育施設等において実施されてきた小学校教員研修のうち,体験活動にかかわる研修の調査を行った結果,(1)体験的研修活動のプログラムがあまり行われていないことが改めて認められた。また,(2)研修プログラムの評価が行われていないこと,さらに,(3)学校教育サイドからの研修と社会教育サイドからの研修の連携が十分に行われておらず,組織や運営などが分化したままであること,が明らかになった。 体験的研修プログラムの開発では,能登青年の家で生活科を中心とする体験カリキュラム,那須甲子少年自然の家で環境教育を中心とする体験カリキュラムを開発し,それぞれ試行した。生活科を中心とする体験カリキュラムの中では,フィールドワークに力点をおいた実習(創作コース,自然観察コース,食文化コース,遊びコース,)を中心に研修が行われた。そこでは,海辺の動植物,磯遊び,地引網など能登の海にちなむ体験活動を工夫した。一方,環境教育を中心とする体験カリキュラムでは,那須の自然の中での体験活動を取り入れた実践的研修を行った。森林や草原の動植物に親しむいろいろな体験活動(テーマ:水と自然,森の中の生物,自然と人のくらし)やゴミ処理に関する体験活動などが環境教育の視点から行われた。これらのコースはいずれも実習が中心の研修であったため,参加者の興味,関心が高く,コースやテーマ別の活動が極めて好評であった。 しかし,これまでの研究からは,実際に行われている研修の検証が非常に難しいことが認められた。これは研修の質を捉える評価システムの遅れによるものである。さらに,現場で十分な評価が行われていない一因としては,研究面での評価研究の不足もあげられる。今後,評価の視点,プロセスの評価など,体験的研修プログラムに対する評価方法の開発が課題である。
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